Research Abstract |
本研究では,界面活性剤の結晶表面安定化効果を利用したナノ結晶ゼオライトのサイズ制御と,触媒有効係数に基づく触媒設計法の確立を目的としている. 1)基材となるナノ結晶ゼオライトの調製 10員環ゼオライト(MFI,TON),12員環ゼオライト(MOR,BEA,FAU,MTW)の合成とサイズの制御に成功した.特に,FAU,MTW,TONゼオライトは,H23年度に新たに合成に成功したゼオライトである. 2)拡散係数の測定と触媒有効係数に基づく最適なゼオライト結晶サイズの決定 10員環のMFI,12員環のBEAの各ゼオライトについて,芳香族(ベンゼン,トルエン),アルコール,炭化水素の吸着機構と拡散係数測定を行った.拡散係数に関しては,炭化水素<アルコール<芳香族となり,炭化水素とアルコールの吸着量と拡散係数は非常に大きいことが示された. 3)酸点分布制御とナノ結晶ゼオライト触媒設計法の確立とその実証実験. シラン接触分解法とイオン交換法による酸点の強度と不活性化酸点場所の制御を実施した.イオン交換法と比較し,シラン接触分解法では,酸点の不活性化は穏やかに進むことが明らかとなった.一方,Siへの官能基であるフェニル基の数により,ゼオライト結晶外表面のみ,もしくは結晶外表面と内部の酸点の不活性化が可能であることが明らかとなった.特にジフェニルシランとトリフェニルシランを用いた場合,結晶外表面のみの不活性化が可能であり,これはトリメチルベンゼンの異性化反応により確認された.即ち,これらのシラン化合物で処理したゼオライトでは,異性化反応活性を示さない.ナノサイズMFIゼオライトにシラン処理を施した触媒を調製し,トルエンのメタノールによるアルキル化を実施し,良好なパラキシレン選択制を示すことを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,触媒の調製と酸点の処理を実施することができた.また,ゼオライトの調製に関しては,研究計画にあるMFI,MOR,BEA型以外に,FAU,MTW,TON型のゼオライト合成にも成功した.H23年度はトルエンのアルキル化を中心に実施した.H24年度はグリセリンの脱水反応と反応速度解析を実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に実施したトルエンのアルキル化に関しての速度解析とアルキル化に適した触媒の設計を実施する.ゼオライトの結晶サイズ以外に細孔サイズと構造に関しても検討を進める. グリセリンなどのアルコールの脱水反応に関しては,MFI,BEAとFAU型のゼオライト触媒を中心に,研究を進める.結晶サイズ,Si/Al比,シラン処理が反応特性に及ぼす影響を明らかにする.
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