2011 Fiscal Year Annual Research Report
層間イオンの局所構造制御による新規酸素吸蔵材料の開発
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22560763
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中田 真一 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 教授 (70312692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 純雄 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 准教授 (50233797)
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Keywords | 酸素吸蔵能 / デラフォサイト / 銅酸化物 |
Research Abstract |
デラフォサイト型CuCrO2系固溶体に注目して酸素吸蔵機構を検討した。デラフォサイト型銅酸化物の合成は主として固相反応法により行った。出発原料としてCu_2O,Cr_2O_3および+3価金属イオンを含む酸化物を用いて、これらをCuCr_<1-x>M_xO_2組成となるように秤量、混合したのち、N_2気流中、900~1100℃で焼成して合成した。酸素吸蔵能(OSC)は50%02/HeおよびH2パルスを交互に導入した時の酸素吸蔵量により評価した。その結果、Cr3+サイトにFe3+を置換した場合、置換量の増加に伴いOSC発現する温度が低温側にシフトし、x=0.5組成で400℃以上におけるOSCが向上することが明らかとなった。H2-TPR測定における試料中のCuイオンの還元温度はCuCrO2(x=0)に比べ、x=0.1,0.2組成で高温側にシフトし、x=0.5組成で低温側にシフトした。H2-TPR測定後の試料のXRDパターンより、いずれの組成においても金属Cuの生成が見られ,x=0~0.2ではCr 2O 3が存在した。また、x≧0.1組成ではスピネル型のCu(Cr,Fe)_2O_4相が生成し、x=0.5ではCr_2O_3,が生成しなかったことから、Fe^<3+>置換によりCr,Feを含むスピネル相が生成し易くなったことがデラフォサイト相の還元特性に影響したと考えられる。x=0.5組成について800℃でO_2またはH 2パルスを導入した後のXRDパターンより、H_2還元後には金属Cuとスピネル相のピークが見られたが、O_2酸化後にはデラフォサイト相のみが存在した。以上の結果からCuCr_<0.5>Fe_<0.5>O_2(x=0.5組成)においては、還元雰囲気下でのスピネル相の生成を伴うデラフォサイト相の分解と、酸化雰囲気下におけるデラフォサイト相の再生により酸素吸蔵能が発現すると考えられた。以上の結果より、デラフォサイト型CuCrO2系固溶体におけるCrサイト置換がOSCに及ぼす影響と酸素吸蔵機構に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であったデラフォサイト型CuCrO_2系固溶体の酸素吸蔵機構について、デラフォサイト型酸化物とスピネル型酸化物+金属問の分解・再生成反応が寄与することが明らかにでき、新材料開発のための有益な知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で得られた、酸素吸蔵機構に関する知見をもとに当Cuとスピネル型酸化物を形成しやすいMnを含む物質系に拡張して、物質合成およびOSCの評価を行う。さらに、排ガス浄化触媒の助触媒として利用するには、酸素放出量とともにその速度が触媒活性向上に大きく寄与すると考えられるため、これまでに合成したデラフォサイト型酸化物の酸素放出・吸蔵速度の評価および実用材料であるCeO_2系酸化物との比較を行い、実用化のための課題を検討する。
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Research Products
(2 results)