2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス再資源化プロセスの構築を目指した多機能性固体触媒の設計と開発
Project/Area Number |
22560764
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
海老谷 幸喜 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (50242269)
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Keywords | バイオマス / 固体触媒 / ワンポット / 塩基触媒 / 酸触媒 |
Research Abstract |
本研究に採択される以前に開発した固体酸・塩基触媒を同時に用いるグルコースからのヒドロキシメチルフルフラール(HMF)へのワンポット変換技術を、セロビオース、スクロース、フルクトース、ヘミセルロース由来のラクトース、D-ガラクトースへと拡大展開した。また、D-アラビノース、ザイロースからは、フルフラールが選択的に得られる事がわかった。レラムノースからは、5-メチル-2-フルアルデヒドが得られた。酸の役割は、加水分解と脱水反応を促進する事、塩基の役割は、6員環を5員環へと異性化させる反応機構を提案している。 HMFは水酸基とホルミル基を同時に有しており、ハイドロタルサイト(HT)担持Ru触媒を用いると、環境に優しい分子状酸素を酸化剤として、水酸基だけが選択的に酸化されジアルデヒドを与える事を見出した。一方、HT担持金ナノ粒子触媒を用いると、水溶媒中で、分子状酸素を用いて、相当するジカルボン酸を選択的に与える事がわかった。 HMFほ、固体酸触媒存在下で、水溶媒中でレブリン酸へと効率的に加水分解される事を見出した。触媒の酸型イオン交換樹脂は、反応液から分離が容易で、再使用が可能であった。 フルフラールは、過酸化水素存在下でイオン交換樹脂型固体酸触媒によって、サクシン酸へと選択的に変換される事がわかった。触媒は容易に反応液から分離でき、再使用が可能であった。 また、セルロースからグルコースへと変換できる、シリカ基盤の磁性ナノ粒子・酸触媒も開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた研究結果に基づいて、複数の査読付国際ジャーナルに成果発表している。Bull.Chem.Soc.Jpn.への掲載論文は、BCSJ Award Aricleを受賞している。また、学会発表も15件行っている。第108回触媒討論会では、ボスター賞を受賞している。発表のうち2件は、招待講演である。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の反応について、触媒および反応系の最適化を行う。 1)HMFから、ジメチルフルフラールの合成反応(水素化分解反応)。 2)3糖類からのHMFの合成反応(脱水反応、異性化反応、水和反応)。 3)ジオールからのヒドロキシカルボン酸の合成(選択的酸化反応)。 4)グルコースからレブリン酸の直接合成反応(異性化反応、脱水反応、水和反応)。
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