2011 Fiscal Year Annual Research Report
改変型ホスホリパーゼDによるホスファチジルイノシトールの位置異性体選択的合成
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22560770
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩崎 雄吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50273214)
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Keywords | 酵素反応 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究では、機能性リン脂質としての利用が期待されているホスファチジルイノシトール(PI)の位置異性体選択的な精密酵素合成を行う。これまで代表者はPIの酵素合成法の開発を目的として、本来同活性を持たない微生物由来のホスホリパーゼD(PLD)を蛋白工学的に改変し、同活性を付与した改変型PLDの創製に世界で初めて成功した。得られた改変PLDによって得られるPIには6種の位置異性体が考えられるが、実用的な合成のためには、PI位置異性体のうち1-PIを選択的に合成する事が必須である。 そこで、現有する改変PLDのうち最も1-PI選択性の高い187H/191Y/385Rなる変異PLDとイノシトールとの立体構造モデルを構築した。そのモデルから、本酵素の基質結合部位周辺に存在し、イノシトールの結合と配向を規定すると考えられるアミノ酸残基としてL88,D190,V198を見いだした。次にこの3アミノ酸残基が他の19アミノ酸に変化するようにランダム変異を導入したライブラリーを作製した。得られたライブラリーから1-PI合成を対する選択性が向上したものをPI-PLCの選択的分解法を利用する事でスクリーニングを行い優良変異体候補を獲得した。得られた優良変異体候補から、目的とする性質に合致する変異体を絞り込み、そのDNAシーケンスを確認したところ、ほとんどの変異体は変異の導入されていない親酵素であることが判明した。この原因として1)そもそもこれらの残基への変異導入は特異性を低下させるもしくは活性そのものを低下させる。2)ランダム変異ライブラリーからのスクリーニングでは選択に限界があると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単離した多くの優良変異体候補のDNA配列を解析すると、それらのほとんどは変異が導入されていない親酵素であり、当初の目的の変異酵素の獲得には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は23年度まで行ってきたランダム変異導入とスクリーニングという方法から、戦略を変更する。位置特異性に大きく関与すると思われるD190およびその周辺ループにターゲットに絞り、その部位を置換した変異遺伝子を一つずつ作製し、それらを発現して、位置特異性の変化を解析する。
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Research Products
(4 results)