2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルコース燃料電池性能向上に向けた取り組み「微生物からの電子獲得技術の向上」
Project/Area Number |
22560773
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
東 雅之 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20285282)
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Keywords | 応用微生物 / 燃料電池 / 酵母 / グルコース |
Research Abstract |
本研究は3年計画でグルコース燃料電池に適した電池用酵母の開発に取り組む。研究の後半では多数の酵母変異株を用いて電池の出力評価を行う。その為に、22年度では短時間で出力評価が可能な小型のグルコース燃料電池を製作した。これまで用いていた電池は、負極と陽極ともに30mlのスケールで出力評価に約20時間を要した。今回作製した7.5mlスケールの電池を用いることにより、2時間程度で出力評価が可能となった。次に、小型電池を用いて、負極に用いる酵母の量やグルコースとメディエーターの濃度、正極に用いるK_3[Fe(CN)_6]の濃度について最適条件を決定した。さらに、電極を炭素棒から炭素繊維に変更することにより出力が向上することを明らかにした。加えて、測定温度の影響も検討し、50℃で測定した時、6mWを超える出力が得られた。電極容量あたりの出力は、30mlスケールで行った時よりも高くなり、優れた出力評価系を構築できたと判断した。 反応槽の酵母のグルコース代謝を理解するため、測定中の負極溶液中のグルコースやエタノールの濃度を定量した。グルコースは測定開始から4時間程度ほとんど消費されておりほとんどはエタノールに変換されていた。計算上では、電池に転用できたエネルギーは、燃料として添加したグルコースの2%程度が呼吸で代謝された時に得られる電子を電気エネルギーに変換した量に相当した。エタノール発酵への代謝の流れを呼吸に向けることにより出力の上昇が期待される。そこで、グルコース代謝においてエタノール発酵へ分岐する箇所を触媒する酵素「ピルビン酸デカルボキシラーゼ」の量が低下する遺伝子破壊株を用いて出力評価を行った。今後もさらなる確認が必要であるが、現時点では、野生株に比べ遺伝子破壊株の方が出力は高かった。今後も、各種変異株を用いてグルコース代謝と出力の関係を詳細に検討する予定である。
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