2010 Fiscal Year Annual Research Report
高純度ウイルス粒子の試験管内合成とナノテクノロジーへの応用
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22560774
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50201942)
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Keywords | セルフリー / ウィルス粒子 / RNAウイルス / 人工ウイルス / 試験管内合成 / 再構成 / ナノマテリアル / タンパク質合成 |
Research Abstract |
1. ウイルス構成成分の調達と2. ウイルス粒子の組み立てを行った。 (1)ウイルス構成成分の調達:N末端にHisタグを導入したカプシド(His-L-1A-1B-1C-1D)の発現を大腸菌、BHK-21細胞で行ったが完全長のものはほとんど合成されなかった。一方ヒト細胞由来セルフリー合成システムを用いて合成すると完全長のものが分解産物を伴なわずに合成された。後の実験に使用できるだけの量を得るため、システムの規模を1ミリリッターにした。次にプロテアーゼ(3C)を合成した。まず、GST融合タンパク(GST-3C-His)として大腸菌で合成し、精製後GST部分を切り離す形で3C-Hisを得た。His-L-1A-1B-1C-1Dをニッケルレジンに結合させ、3C-Hisを加えインキュベーションすると、1A-1B, 1C, 1Dが切断されてレジンから放出された。このようにしてウイルス殻の部品である1A-1B, 1C, 1Dを準備することができた。 2. ウイルス粒子の組み立て:様々な条件下で1A-1B, 1C, 1Dをインキュベーションすることによりウイルス粒子組み立てに必要な条件をほぼ決定した。まず、温度は37度が適切であった。マグネシウムを5mM,硫酸アンモニウムを0.5M加えると、ショ糖密度勾配遠心において少なくとも沈降係数が80S程度の複合体を形成することがわかった。これはウイルス粒子の前駆体(空の粒子)と考えられる。しかし、形成されたものがウイルス様粒子であることを確認するためには電子顕微鏡で形態を観察する必要がある。そのためには、His-L-1A-1B-1C-1Dの発現系を少なくとも10倍に拡大する必要がある。また3C-Hisが沈殿を形成しやすいため、保存法を含め検討する必要がある。
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