発電機構を有するリアクションホイールシステムを用いた宇宙機の姿勢制御とその最適化

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22560780
• Research Institution: The University of Electro-Communications
• Principal Investigator: 長塩 知之 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (80334580)
• Keywords: 姿勢制御 / 最適化 / 回生機構 / リアクションホイール / 宇宙機

Research Abstract

宇宙機の姿勢制御用アクチュエータであるリアクションホイールシステムの発電機への転用、及び、その電力収支を含めた姿勢制御系の最適設計手法について検討するために、発電機構の特性をダイナミクスモデル化し、一般的な剛体宇宙機の姿勢運動モデルと組み合わせることにより、制御対象モデルを構築した。そして、構築したモデルに対して、標準的な比例微分制御器を適用し、発電機構のモデルに含まれる各種のパラメータ値を試行錯誤的に操作することによって、宇宙機の姿勢安定化、及び、リアクションホイールシステムの力行、回生における電力収支、が受ける影響を数値ジミュレーションにより検証した。その結果、リアクションホイールを駆動するモータの回路抵抗値を力行、回生に合わせて適切に操作することにより、効果的な運用が可能であることがわかった。さらに、この検証結果を踏まえて、回路抵抗値をスケジューリングパラメータとする可変制御器の設計法について、姿勢追従性能を評価関数として最適化する手法について吟味し、設計条件を線形行列不等式を用いて記述することを試みた。また、この数値的検討の成果を反映して、回路抵抗値をソフトウエアにより変更することができる無線駆動式リアクションホイール実験装置を、独立行政法人宇宙航空研究開発機構の研究員、及び、日本電気株式会社の技術者の方々から協力を得て設計、製作し、その動作検証を実施した。その結果、製作した実験装置が期待通りの性能を有し、次年度以降に計画している実証実験の実施に問題がないことがわかった。