2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速・高精度姿勢制御のための適応スキュー角ピラミッド型CMGの研究開発
Project/Area Number |
22560783
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小島 広久 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50322350)
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Keywords | Control Moment Gyros / 適応則 / 特異点 / 特異点回避 / ジンバル駆動則 / 曲面微分幾何学 |
Research Abstract |
本研究は,発生トルクの増大化による高速姿勢変更・高精度姿勢追従を可能とするジンバル駆動則の開発・実験検証を目的としている.本年度は,前半部分の高速姿勢変更を可能とするための,スキュー角も動的に動かすステアリグ則を実現するために,次の2つのことを主に行った. (1)スキュー角を動的に変化させた場合に,内部特異点がどのように動的に変化するのかをアニメーション化するとともに,全てのスキュー角に対する楕円型・双曲型特異点の分類計算・視覚化を行った.スキュー角を動的に動かす場合における角運動量包絡面は,スキュー角を静的に変化させて得られる包絡面をすべて内側に含む,いわゆる包絡面の包絡面であることを確認するとともに,包絡面の一部の解析式を求めた.また,楕円型と双曲型特異点の境界を曲面微分幾何学でトレースするプログラムを作成し境界線を求めた.この境界線を近似式で表す,もしくはデータベース化すれば,ヌルモーションで回避できない楕円型特異点を回避するために必要なジンバル角摂動量を容易に求めることが可能になり,より確実なモデル予測制御の開発につながる. (2)スキュー角を含むSR駆動則による姿勢変更では,マヌーバ軸によっては固定スキュー角とそれほど大きく整定時間が変わらない場合もあることが前年度に確認されたため,その原因を調べた.その結果,スキュー角が姿勢変更開始直後に駆動されると,ジンバル角摂動を行っても楕円型特異点に陥りやすい状況になることがあると判明した.そこで楕円型特異点曲面の表面積が最少になるスキュー角を求めたところ,従来角度である54.73度のときに最小とあることが判明した.このことは,楕円型特異点を回避するまではスキュー角を極力動かさず,特異点回避後にスキュー角を変化させた方が高速姿勢変更には有利に作用することを意味する.そこで,楕円型特異点の存在領域を平面交線で近似的に表現する方法を考え,その近似特異点線との幾何学的な距離に基づくヒューリスティックなステアリング則を考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル予測制御による特異点回避ステアリング則を実装し,高速・高精度姿勢変更を実証することが目的であるのに対し,ステアリング則の基本的な考え方は固まったが,また実装に至っていないため,当初計画からやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
ステアリング則の実装を早期に(年度初めの5月末までには)完成し,特異点回避とスキュー角の動的変化による高速姿勢変更の実証を行う.また,高精度姿勢の研究においては,姿勢変更終盤においてバリアブルCMG.の機能を使って微細なトルク制御を方向の方向に出せるように,ジンバル角をゼロに戻すのではなく,互い違いに±90度に戻るようにすることでRW機能を効率よく発揮できることも考える.これらの制御則の有効性検証用に購入した光電センサーを外部に設置し,衛星モデルにレーザーポインタを装着することで姿勢の精度を計測できるようにする.
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