2011 Fiscal Year Annual Research Report
スマート構造の準能動型制御システム(エネルギ消費の低減化に関する研究)
Project/Area Number |
22560785
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大久保 博志 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (40094502)
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Keywords | 宇宙構造物 / 振動制御 / 準能動制御 / 圧電素子 / 制御系設計 / スマート構造 / 知的適応構造 |
Research Abstract |
本研究では、スマート構造の制御に必要な電力消費を大幅に低減する準能動型の制御システムを提案し、超高精度宇宙構造物への適用などスマート構造の応用可能な領域を拡大する。とくにエネルギ消費を抑えるスマート構造の準能動制御について研究し、宇宙アンテナなどの宇宙構造物の超精密制御にスマート構造システムを導入するための基礎研究として、宇宙スマート構造実現に貢献することを目的としている。本年度は以下の点についての研究計画を実施した。 1.スライディングモード制御による準能動制御に関する理論的研究 本研究では、スライディングモード制御による切換え制御を考え、切換え面に沿ってシステムが原点に収束するようにスイッチングを行うことで、構造振動を制御する。その際に、機械エネルギから電気エネルギへの変換を最大にするように回路の切換えアルゴリズムを設計した。また、多モードの振動制御への拡張、複数の素子を用いる場合の配置の最適化についても検討した。 2.圧電素子を用いた準能動制御実証実験 準能動型スマート構造の効果を実証するため、柔軟はりの側面に圧電素子を装着した柔軟はり(スマートビーム)振動実験装置を用いて実証のための予備実験を行った。共振回路を常時接続する受動制御と切換えを行う準能動制御の性能比較、能動型のフィードバック制御を行い、同一の制振性能達成に必要な電力消費を比較して、提案する準能動型制御のエネルギ効率を評価した。準能動型制御は、受動型制御に比べて減衰効果が高いが、スイッチング回路制御の他に、高インダクタンス素子に代わるシミュレーテッドインダクタ回路を必要とするため、外部からのエネルギ供給が必要となるので、この部分の消費電力を含めた検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔軟構造の準能動型制振制御系の設計法の研究では、受動型、準能動型、能動型の制御則についての理論的検討を行った。実験室モデルを用いたスマート構造の準能動型制振実験については、計測方法に問題があり、準能動制御をの実現はできていない。多モードの制振に有効な多数の準能動型圧電素子を用いた制振制御の研究も、数値シミュレーションでは成功している。今後実験的な実証も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
準能動型のスマート構造についての理論的研究を引き続き行う。多モードの制振については、圧電素子を複数使用し、モードごとの共振回路を設計する。準能動制御については、共振回路を各モードごとに使用する場合と単一の共振回路にモード複合型の切り替え制御を設計する方法についてさらに検討する。また、複数の素子を用いる場合の切換え制御則およびアクチュエータ配置の最適化についても検討する。 柔軟はりの側面に圧電素子を装着した柔軟はり(スマートビーム)振動実験装置を用いて実証実験を行う。予備実験の結果、センサ雑音が切換え制御に及ぼす影響が大きく、制御性能の低下を招くことが分かったっため、センサ信号のS/N比を高めるために、柔軟はりの固有振動数を従来より高いものに変更して実験を行う。
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