2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560786
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
太刀川 純孝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (90470070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智彦 東京理科大学, 理学部, 教授 (30311129)
桑原 英樹 上智大学, 理工学部, 教授 (90306986)
赤星 大介 東邦大学, 理学部, 講師 (90407354)
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Keywords | 熱制御材料 / 物性実験 / 光物性 / 強相関電子系 / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
宇宙機用放射率可変型ラジエータ(SRD:Smart Radiation Device)は、ラジエータ表面の放射率が、自身の温度により自律的に変化することにより、宇宙機の温度を自動的に一定化させ、低温時に必要となるヒータ電力を削減する効果がある次世代の熱制御素子である。2010年6月に地球に帰還した「はやぶさ」にはLSCMO(La_<0.775>Sr_<0.115>Ca_<0.11>MnO_3)を用いたSRDが搭載され、その機能が実証された。今後の惑星探査ミッション、月探査ミッション等においては、より高性能なSRDが求められている。 高性能なSRDとして求められる材料は、常温付近を境に、ふく射率が温度により大きく変化する性質を備えることが重要である。つまり、従来のLSCMO以上に、低温では放射率が小さく、高温では放射率が大きくなるような材料を探し出すことが目的である。材料の探索には電気抵抗率、および磁化率の測定を用いる。23年度においては、22年度に探索した材料の放射率温度依存性を測定するとともに、新たに以下の2点について実施した。 (1)La_<0.775>(Sr_<0.115>Ca_<0.11>)MnO_3のMnサイトをGaで置換 (2)NdBaMn_2O_6のBaの一部をSrで置換 (1)については、MnサイトのGa母置換により、高温側の電気抵抗率が低温側の電気抵抗率よりも大きく上昇することが確認できた。MnサイトGa置換効果によるSRDの性能向上の可能性があることが確かめられたため、今後、転移温度が高い試料のMnサイトにGa置換を行うとともに、Ga以外の元素の置換効果を調べる。 (2)については、NBMOのバンド幅(化学圧力)制御を行うことで、室温付近の反強磁性層(A型)が抑えられ、強磁性金属相が低温域に広がるとともに、強磁性転移温度Tcに変化が無いことが確認できた。今後、NBMOの電子数とバンド幅の同時制御を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「はやぶさ」で用いたLSCMOを超える材料の探索が本研究の目的であるが、今のところLSCMOを超える材料は見つかっていない。しかしながら、LSCMO周辺ならびに様々な材料に対する知見は順調に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることから、現在までに得られている知見をもとに、可能性の高い範囲の中で材料の探索を行う。
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