2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハット型スチフナを有するGFRP防撓パネルの圧壊強度評価に関する研究
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22560793
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳原 大輔 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 寄附講座准教授 (10294539)
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Keywords | 複合材料 / FRP / 座屈 / 層間はく離 / ハット型スチフナ / 防撓パネル |
Research Abstract |
ハット型スチフナ付GFRP防撓パネルが圧縮荷重を受けて座屈変形を生じると,ハット型スチフナの側部にある曲りの強い箇所で層間はく離が生じる。このスチフナ立ち上がり部の層間はく離の発生を推定するために,曲率を持った曲りGFRP帯板を作成して,この帯板の曲りがもとに戻る方向にモーメントを受ける曲げ試験を実施した。この試験は昨年度に引き続き実施したが,本年度は試験機の荷重から曲率部の曲げモーメントを正しく導く算式を導出した。この曲げモーメントに基づき,曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)にしたがって,はく離発生曲げモーメントが小さくなることを改めて確認した。GFRP用2次元ソリッド有限要素解析プログラムを用いて試験の再現を行い,曲り部の曲率が大きくなると,比較的大きな板厚方向応力.(層を剥がす方向の応力)が生じ,これが層間はく離のひとつの要因であることを確認した。ただし,はく離発生曲げモーメント下の板厚方向応力は,曲り部の曲率が大きくなるにしたがって大きくなり,板厚方向応力だけでなく曲率に依存した他の要因も層間はく離の発生に関与していることが明らかとなった。 過去の実施したハット型スチフナ近傍の2次元断面試験モデルに対して,有限要素法解析を実施しスチフナ曲り部の曲げモーメントを計算し,上述の曲げ試験で得られたはく離発生曲げモーメントと概ね対応していることを確認した。さらに,シェル要素を用いた有限要素解析プログラムに,シェル要素中心の曲げモーメントがはく離発生限界曲げモーメントに達した場合を圧壊強度するルーチンを組み込み,防撓パネルの座屈試験モデルに対する試解析を実施した。その結果試験のはく離発生強度に比べ高めの強度を推定する結果となったが,さらなる検討を進めることで強度評価可能になると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
曲り部のはく離発生限界曲げモーメントを精度良く計算する算式の導出に少し時間がかかっているが,曲り部以外のはく離発生条件の導出やはく離発生条件を組み込んだ圧壊強度評価プログラム構築は予定通りに進んでいる。さらなる圧壊強度プログラムの精度検討が必要ではあるが,様々な寸法を持つ構造や防撓パネルが連続する構造への展開も可能な段階にあり,概ね予定通りに進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,ハット型スチフナ曲り部のはく離発生曲げモーメントを計算する算式の精度を上げることが必要である。これには,はく離の要因となる板厚方向応力の限界値の算定が必要となり,本年度も曲り帯板曲げ試験を行う。この算式の精度が確保できれば,防撓パネルの圧壊強度評価の精度も向上すると考えられ,防撓パネルの座屈試験結果との比較を通して精度検証を進めていく。さらに,実際に小型船舶に用いられる寸法の防撓パネルに対して強度評価を行うとともに,パネルやスチフナの寸法を変化させた場合の強度評価を行い,これら寸法が強度に与える影響を調べる。
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Research Products
(1 results)