2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560798
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
畔津 昭彦 東海大学, 工学部, 教授 (80184175)
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Keywords | 舶用機関 / ディーゼル燃焼 / 噴霧燃焼 / 排ガス再循環 / NOx / すす / 火炎温度 |
Research Abstract |
本研究では,舶用ディーゼル機関の排ガス再循環(EGR)を想定した種々の雰囲気条件で,燃料の着火・燃焼特性を系統的に検討して明らかにした上で,高濃度排ガス再循環による低NOx,低PM(すす)の新しい燃焼モードが実現可能な燃料条件,雰囲気条件,噴射条件を同定することを目的としている.本年度は本研究の第1年度として,まず実験計測システムの整備を行うと共に実験的検討を進めた. 可視化燃焼実験は,エンジンシリンダ内と同等な雰囲気条件を実現できる高温高圧容器内の単純化した場において実施することとし,燃焼系,可視化系,計測系の同期システム,および排ガスの計測システムを整備した.さらにこの実験システムを用いて,軽油を燃料とし,雰囲気温度・圧力,燃料噴射圧力を一定とした条件で,雰囲気中のO2濃度を低酸素側に大幅に変化させた実験を行い,NOx,COなどの有害排ガスの排出傾向と,火炎中のすすの生成状況,火炎温度について検討した.その結果以下のことが明らかになった. 1) 酸素濃度の低下に伴いNOxは低下する.一方,一定酸素濃度以下になるとCOの排出が生じ,低酸素濃度になるにつれて顕著となる. 2) 可視化燃焼実験結果によると,低酸素濃度になると火炎温度が低下し,これが低NOx化の原因になっているものと判断された.一方火炎中のすす量(KL値)は酸素濃度の低下に伴い増加するが,一定酸素濃度より低くなると減少に転じ,低酸素濃度場ではほとんどすすが発生しない噴霧燃焼が可能である. 3) 火炎中にすすが発生せず,NOx,COが排出しない噴霧燃焼が可能な酸素濃度域が存在する.なお雰囲気にCO2を添加すると,この酸素濃度域の範囲が狭くなるなど,燃焼温度自身が支配要因となっている可能性が示唆された.
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