2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造信頼性解析を用いた設計不規則波による船体構造設計法の検討
Project/Area Number |
22560799
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
深澤 塔一 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80143171)
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Keywords | 船体構造設計 / 信頼性解析 / 設計不規則波 / 船舶工学 / 海上安全 / 設計工学 |
Research Abstract |
本研究は,船舶の安全性を適切に評価できる船体構造設計を実現させるために,設計不規則波という,設計波ではあるが現実に起こり得る不規則波を用いた解析法について,確率・統計的な検討を行い,現在船体構造設計において主流となっている「構造信頼性解析」において設計不規則波を用いる方法を提案することを目的とする。 本年度は,船体に作用する最大荷重や最大応力の推定に関して,不規則波中での船体縦曲げモーメントのピーク値の確率分布形状について検討を行った。まず,船体構造の座屈・崩壊のような最大応答に関係する海象は応答の長期予測の中でも発現頻度の低い極限海象であるが,このような短期海象を最悪短期海象と定義し,それらを実際の海象データから求めた。次に,船体を一本の梁と見なし,最悪短期海象中で,スラミングの影響によるホイッピング振動を含む船体縦曲げモーメントのシミュレーションを行い,それより得られる極値の整理を行った。さらに,この極値の確率分布形状をワイブル分布と仮定し,その適合性とパラメータについて検討を行った。10通りの最悪短期海象に対して船体応答のシミュレーションを行い,船体縦曲げモーメントの確率分布についてその特徴を調べ,以下の様な結果を得た。 1.最悪短期海象中で発生する,弾性振動を含んだ船体応答における船体縦曲げモーメントの極値の分布は,ワイブル分布で近似することができる。 2.弾性振動が顕著で無い場合のワイブルの形状パラメータの値は,β=1.3-1.7の範囲の値となった。 3.弾性振動が顕著な海象におけるワイブル分布の形状パラメータの値は,Hogging側でβ=1.2-1.3,Sagging側でβ=1.1-1.2となった。 なお,来年度は,これまでの研究で得られた結果をもとに,設計不規則波を用いた船体構造設計法について確率・統計的な検討を行い,構造信頼性解析において設計不規則波を用いる方法を提案する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,不規則波中での船体応答における縦曲げモーメントについて,1年目に弾性振動を含まない場合の検討を行い,2年目に弾性振動を含んだ場合の検討を行い,それぞれにおいて,所期の目的が達成できるに足る研究成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本課題における最終年度にあたるため,これまでに得られた研究成果を統合し,最終的に設計手法を提案することになる。すなわち,不規則波中での船体応答における縦曲げモーメントについて,その確率統計的性質を明らかにし,設計不規則波を用いた推定値との相関関係を考察する。これより,信績性解析をベースとした場合の設計不規則波を用いた設計手法の位置づけを明確にし,設計手法として提案する。
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