2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境対策とコストが調和した加工油剤循環システムのデザイン実践
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22560814
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
近藤 康雄 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50304241)
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Keywords | 水溶性加工油剤 / リサイクル / アミンフリー / 粉末活性炭処理 / 防錆性・耐腐敗性 / 長期安定性 / 廃液処理性 |
Research Abstract |
クーラントの持続可能性を向上するために,(1)切削液としての性能が高く,(2)メンテナンス性が良く長寿命化が可能,かつ,(3)適正なリサイクルまたは処理が可能な水溶性クーラントの組成について検討を行うために、基油が異なる(鉱物油ベース、合成エステルベース、植物油ベース)3種類の水溶性クーラントの防錆性,タッピングトルクおよびリサイクル性を調べ,水溶性クーラントの持続可能性を向上させるためのアプローチについて検討した結果、 1.油剤組成に関わらず、自然環境に放置した状態ではエマルションの安定性は高い 2.アミンフリークーラントは防錆性が幾分弱い傾向にあり、防錆性を担保するにはアミン系界面活性剤が有効 3.タッピング加工時の最大トルクは、加工の種類によってクーラント基油の種類を使い分けた方が良い場合がある 4.アミンフリークーラントはアミン含有クーラントに比べリサイクルセイが良好である 5.加工油剤の持続可能性を高めるには、アミン含有クーラントのリサイクル性を高めることが有効と考えられ、このためには親水性が弱い防錆目的の界面活性剤の開発が必要となる。 といった知見を得た。 また、アミンフリー加工液の複数回リサイクル使用の有効性を検討するために、実マシニングセンターを用いて性状変化および加工特性を評価した。エマルションタイプのアミンフリー水溶性クーラントを複数回リサイクル使用すると、クーラントの防錆性が徐々に低下し、リサイクル回数を増やすと無機系アルカリ物質がクーラント中に蓄積していくことが確認された。しかし、加工液としての性能およびエマルションの長期安定性については、リサイクル回数を増やしても大きな変化はなかった。上述したように、アミンフリー加工液は、リサイクル処理が比較的容易な加工液であることを考慮すると、アミンフリークーラントの防錆性を向上させることは、アミン含有クーラントのリサイクル性を高めることと同様、加工油剤の持続可能性を高めることに対して有効と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,水溶性加工油剤の長寿命化と廃液処理性を両立できる加工油剤およびリサイクル技術の開発を目指しており、長寿命化の観点からはアミン系界面活性剤を必ずしも使用しなくても良いことをマシニングセンターを用いた実環境試験で証明できた意義は大きい。また、長寿命化と廃液処理性を両立させるには、防錆性を向上させることがキーポイントになることを明らかにしたことは、今後の油剤改良の方向性を示すものであり、研究目的を達成するための大きな前進といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間にわたる本研究の総括として、加工油剤の組成、特に、基油の種類およびアミン系化合物の有無が長寿命化とリサイクル性にどのように関係するかを明らかにする。また、加工油剤に求められる最大の機能が加工あ高精度・高能率化を実現することにあることを考慮すると、加工油剤の組成だけに着目した研究だけでなく、加工油剤の使用環境からの検討や供用中の加工油剤のメンテナンスといった側面からの検討も加え、現実的にどのような組成の加工油剤をどのように使えば、長寿命化とリサイクル性が両立するのかについても研究を実施する。
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Research Products
(7 results)