2011 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル回収のためのテーラーメイド型三脚状分子を含有するイオン交換樹脂の開発
Project/Area Number |
22560815
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大渡 啓介 佐賀大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70243996)
|
Keywords | アルキルトリメチロール / レアメタル / イオン認識 / リサイクル / イオン交換 / 溶媒抽出 |
Research Abstract |
H23年度は昨年度合成したトリメチロールデセンを基体とする2-ピリジル誘導体とリン酸誘導体による貴金属の抽出分離、および希土類金属の抽出を検討した。2-ピリジル誘導体は銀、パラジウム、白金に高い親和性を示すことが分かった。また、リン酸誘導体は希土類の相互分離に関してはそれほど良好な結果を示さなかったが、極めて高い抽出能力を示し、最もよく抽出されるルテチウムでは5M硝酸からでも50%抽出できることが分かった。また、今年度は新たにトリメチロールデセンを基体とするアミド誘導体、アミドピリジル誘導体、ジチオカーバメート誘導体を調製した。各誘導体はトリメチロールデセンか合成されるトリアミン誘導体を化学修飾して合成した。具体的には、アミド誘導体ではトリアミン誘導体にベンゾイルクロライドを反応させて、アミドピリジル誘導体では2-ピリジンカルボニルクロライドを反応させて、ジチオカーバメート誘導体では二硫化炭素を反応させてそれぞれの誘導体を合成した。これらの抽出試薬を用いると、アミド誘導体とアミドピリジル誘導体では銀、パラジウム、白金を選択的に抽出し、ジチオカーバメート誘導体では亜鉛に対してカドミウムを選択的に抽出できることが分かった。また、対照化合物として三脚のうち二脚のないモノ誘導体と比較して、これら誘導体は著しく高い抽出能力を有していることが明らかとなった。特に、ジチオカーバメート誘導体ではモノ類縁体よりも高い選択性を示したことから、構造的寄与が発現していると考えられる。ピリジル誘導体を含浸した樹脂では、水相への抽出剤の漏出が抑えられなかったため、含浸樹脂としての利用が難しいことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノネニルトリメチロールを母体とするピリジル誘導体、リン酸誘導体、アミド誘導体、アミドピリジル誘導体、ジチオカーバメート誘導体などが合成できており、これらの化合物による貴金属や希土類金属といったレアメタルの抽出分離挙動について検討が成され、非常に高い抽出性能が見出されている。また、ジチオカーバメート誘導体では対照となるモノ類縁体よりも極めて高いカドミウム選択性が見出され、講造効果の発現が明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度合成した化合物をアンバーライトXAD-7などの多孔性樹脂に含浸することにより、含浸樹脂を合成する。合成した含浸樹脂を吸着剤として利用することで様々なレアメタルの吸着挙動を検討する。抽出挙動を反映する結果となることが予想され、非常に高い抽出性能や効率的な分離挙動が予想される。また、引き続き、アルケニルトリメチロールを母体とする抽出試薬についても開発を続ける。また、含浸樹脂として利用できない抽出試薬については、アルケニル基や重合基の導入を試みる。
|