2011 Fiscal Year Annual Research Report
分解反応過程を考慮した核融合中性子及び重陽子核反応断面積計算コードシステム開発
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22560820
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 幸信 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (30210959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 一介 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (50346764)
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Keywords | 核酸合炉用核データ / 中性子入射反応 / 軽核 / 重陽子入射反応 / 分解反応 / 連続状態離散化チャネル結合法 / グラウバー模型 / 断面積計算コード |
Research Abstract |
核融合炉用核データ(特にLiに対する中性子入射反応データ)と国際核融合材料照射試験施設(IFMIF)の研究開発で不可欠な重陽子核反応の断面積データを精度良く計算できるコードシステムの開発に向け、以下の研究を行った。 まず、中性子と^<6,7>Liとの核的相互作用計算に連続状態離散化チャネル法(CDCC)を適用し、弾性・非弾性散乱および全断面積データの解析を行った。微視的光学ポテンシャル(JLMポテンシャル)を使用し、その虚数ポテンシャルに含まれる規格化パラメータの入射エネルギー依存性に着目した実験データの解析を行い、数MeV~150MeVまで適用可能な経験式を新規に導出した。同様の解析を陽子入射反応にも適用して規格化パラメータの入射エネルギー依存性を求めた。さらに、標的核の分解を伴うトリチウム生成反応(7^Li(n,n')tα)の反応機構を解明するために、終状態相互作用モデルと順次崩壊モデルを組み合わせた簡易計算コードを作成して、実験データが存在する7^Li(p,p')tα反応からの放出陽子とトリトンのスペクトルの同時解析に適用した。その結果、両データとも矛盾なく説明でき、本計算手法の中性子入射反応への応用可能性を示した。 次に、重陽子入射反応断面積計算コードシステムの開発では、直接反応過程に引き続いて起こる前平衡・統計崩壊過程の計算手法の検討を行った。重陽子中の中性子または陽子のはぎ取り反応後に2通りの複合核が生成される。さらに重陽子吸収によってもう1種類の複合核形成が起こる。これらの3つの複合核からの前平衡・統計崩壊過程を核子入射専用のCCONEコードで計算する方法を考案した。100MeV(d,xp)反応の実験データ解析に適用し、統計崩壊によって放出される低エネルギー陽子成分を説明できることを示した。さらに、p+Co反応の放射化断面積計算にも適用し、本計算手法を用いることで実験データとの一致が改善できることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通りに、^<6,7>Li反応に対する中性子及び陽子弾性散乱および全断面積のCDCC解析により計算に必要な光学ポテンシャルの入射エネルギー依存性を導出できた。また、広い質量数領域の標的核に対する重陽子入射反応解析を行い原著論文として発表した。さらに、CCONEコードの適用範囲を重陽子入射反応へ拡張するための方法及び手順を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
150MeVまでの中性子および陽子と^<6,7>Liとの反応に対するCDCC解析を進め、軽核に対する断面積評価のための計算手法を確立する。CCONEコードに重陽子入射反応対応用のサブルーチンを組み込み、拡張版CCONEコードシステムを完成させる。それを重陽子核データ評価に適用し、主要な核種に対するテスト的な断面積データベースを作成する。作成した断面積データベースをPHITS等の粒子輸送計算に用いて重陽子入射中性子源設計への応用可能性を検証する。
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