2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560829
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷口 良一 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 教授 (60155215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 憲男 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 助教 (90150218)
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Keywords | 原子力設計 / 放射線物理 / 低温照射 |
Research Abstract |
液体窒素に電子線照射を行い、「放射線誘起オゾン爆発」を起こし観測する実験を行った。本現象の詳細と原因を解析するため、専用の測定法の開発も同時に行った。液体窒素を入れたガラス製のデュアーの背後に電子線の透過量分布が可能な装置(電子線ラジオグラフィ装置)を配置し、その内部変化が観測可能となった。また外部から赤外光、可視光、紫外光で観測するシステムも完成させた。これらの観測にはすべて高感度の冷却型CCDカメラを利用している。さらに照射電子線が数マイクロ秒のパルス電子線であることを利用して、カメラのシャッターを加速器のマスタートリガと同期させ、パルス画像観察が可能な装置とした。パルス時間分解能(シャッター速度に相当)は最大で、40μsecであった。測定の結果、窒素の分子発光には、ミリ秒を超える極めて長い時定数を持った発光成分が多いことも明らかとなった。 測定系の性能評価実験でも液体窒素は爆発を起こし、観察することができた。これによると、爆発は、オゾン爆発の特徴とともに、放電の特徴も示している。 これらの知見をまとめて、平成23年6月にカナダで開催された「放射線プロセッシング国際会議、IMRP2011」で発表を行った。 現時点では、液体窒素の放射線誘起爆発は、オゾン爆発と放電爆発の両面の性質を示していると言わざるを得ない。放電がオゾン爆発のトリガであるという解釈が最も有力であるが、これらの現象の詳しいプロセスの解明、特にオゾン濃度の分布変化測定は、紫外光を用いた観測が有望である。本年度開発した紫外光パルス画像装置を用いて、次年度に詳しく調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視光、紫外光、赤外光および、電子線透過画像撮像装置の設置と、電子線加速器に同期させたパルス撮像装置は完成した。ただし、窒素の青色および紫外発光は予想以上に長い時間成分を持っており、現時点で装置が測定可能な時間幅(1msec程度)では、その全容を把握することが困難である。測定時間幅の拡大力必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
窒素の発光およびオゾンの吸取は、その波長域の大部分が近紫外領域である。紫外画像の変化を追跡し、同時にオゾン爆発を観測することで、その2次元的な位置を確定し、爆発プロセスの初期状態を明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)