2012 Fiscal Year Annual Research Report
サイクロトロンを用いた照射誘起応力腐食割れの実験的研究
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22560830
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
村瀬 義治 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (10354193)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 照射誘起応力腐食割れ / 軽水炉構造材料 / サイクロトロン / その場試験 / 水素効果 / プロトン照射 / 疲労 / ヘリウム注入 |
Research Abstract |
本研究は軽水炉構造材料における照射誘起応力腐食割れ(以下、IASCC)の理解向上に資することを目的としている。そのため、変動応力下で原子はじき出し損傷および水素を同時に材料中に導入可能なNIMSサイクロトロン照射試験施設において、ヘリウム予注入した316ステンレス鋼について疲労試験を実施し、微細組織変化が疲労クラック発生及び伝播に与える影響の調査を行う。 本研究では、300℃で100appmヘリウム予注入した厚さ90μmの疲労試験試料を準備し、エネルギー減衰器を用いて300℃でプロトン照射下疲労試験を実施した。照射条件は条件A (1.0×10-7 dpa/s, 7.1×10-4 appmH/s)、条件B(5.0×10-7 dpa/s, 3.5×10-3 appmH/s)、条件C (1.0×10-6 dpa/s, 7.1×10-3 appmH/s)の3条件とした。疲労試験後、疲労破面のSEM解析を実施した。 疲労試験の結果、ヘリウム未注入材では疲労破断寿命が、非照射<条件A<条件B<条件Cであったのに対し、ヘリウム予注入材では、非照射>条件A>条件B=条件Cとなった。これらの結果から、ヘリウム未注入材でははじき出し損傷レートの増大とともに照射下効果も増大するのに対し、ヘリウム注入材ではヘリウムが水素をトラップするため、水素導入レートの増大につれて照射下効果が抑制されることがわかった。さらに、SEM破面観察の結果、すべての試料で延性疲労破壊の破面形態がみられたが、ヘリウム予注入材では非照射に比べて照射下でクラック発生および伝播過程が促進されるとともに、水素気泡が関与するディンプル破壊破面が顕著に確認された。従って、本研究の結論として、高経年化によりヘリウムが蓄積した軽水炉構造炉材料では、最も懸念されるIASCCにおいて水素の影響により一層留意すべきであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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