2011 Fiscal Year Annual Research Report
TOF-ERDAによる軽元素分析のための反跳断面積の測定
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22560835
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Research Institution | The Wakasa Wan Energy Research Center |
Principal Investigator |
安田 啓介 財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (00359241)
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Keywords | イオンビーム分析 / 軽元素 / TOF-ERDA / 反跳断面積 |
Research Abstract |
ヘリウムビームを用いた飛行時間測定による弾性反跳粒子検出(TOF-ERDA)法による軽元素分析では、ヘリウムを軽元素に衝突させた際の断面積データが必要となる。本研究ではヘリウムビームを入射した際の窒素、酸素、ホウ素、リチウムの反跳断面積の測定を行う。平成23年度は窒素の断面積データ取得を行った。実験は京都大学工学研究科の放射実験室で行った。タンデム加速器で加速された^4Heビームを厚さが50nmの窒化シリコン薄膜に照射し、散乱されたイオンをシリコン半導体検出器で検出した。2台の検出器を用いて散乱角が83.6°、および165°で測定を行った。散乱角83.6°は^<14>Nの反跳角がおよそ40°に相当する。ビームエネルギーを5.4~4.3MeVの間で30keVずつ変化させてデータを取得した。ビームエネルギー校正は^4He+^<12>C、^4He+^<28>Siの共鳴弾性散乱測定によって行った。厚さが50nmと非常に薄いターゲットを用いたために、ターゲット中に含まれる窒素、シリコン、および表面に蒸着した金からの弾性散乱を分離して測定することができ、窒素による散乱イベントをS/Nよく測定することに成功した。反跳角が40°(散乱角が83.6°)近辺の^4He+^<14>N断面積は測定データが存在せず、これが初めての測定データである。今後解析、を進めて断面積を求め、ヘリウムビームを用いたTOF-ERDA法による窒素定量分析のための基礎データとして用いる。また、理論計算による断面積の値との比較を行い。理論計算の信頼性をチェックする。散乱角が165°の断面積については過去の実験データおよび理論計算との比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度の研究で当初予定していたターゲットを別のものに変更したのと、平成23年度に使用を予定していた加速器が故障のため使用できなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に取得したデータから^4He+^<14>N反跳断面積を求め、理論計算との比較を行う。一致がよくない場合はより低い入射エネルギー(4.3MeV以下)でのデータ取得を行う。次に、^4He+Li反跳断面積の測定を行う。実験は若狭湾エネルギー研究センターのタンデム加速器を用いることを予定しているが、稼働状況によっては京都大学工学研究科放射実験室の加速器を用いることを検討する。
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Research Products
(3 results)