2011 Fiscal Year Annual Research Report
強風域特化型風力発電システムに対するダブルピッチ失速制御機構の開発
Project/Area Number |
22560837
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
玉城 史朗 琉球大学, 工学部, 教授 (80163666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 康敬 国立大学法人琉球大学, 工学部, 教授 (50208021)
天久 和正 国立大学法人琉球大学, 工学部, 助教 (40284955)
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Keywords | 風力発電システム / 失速制御 / 翼素理論 / 風車ダイナミクス / パッシブコントロール / 内部モデル原理 / 時間遅れシステム / バネーダンパ系 |
Research Abstract |
風力発電システムは再生エネルギー活用型発電システムとして実用化が進んでいるが、それは100kW以上の大型機のみである。一方、小型風力発電システム(10kW未満)は、小規模電力供給システムとして揚水、照明、遠隔地や山岳地における電力源としてその用途は非常に幅広い。しかし、その普及は遅々として進んでいない。その理由は、強風による羽根の過回転による破損事故の多発に起因する。すなわち、15m/s以上の強風域で小型風力発電システムを運転すると過回転を誘発し、その結果、羽根が遠心力により破壊されるという現象が起きる。大型風力発電システムの場合は、風速に応じてピッチ角をモーターで変化させることにより、能動的に羽根に失速制御を行わせて過回転を防止している。しかし、小型風力発電システムにこのような失速制御方式を採用すると、非常にコスト高になるばかりではなく、メンテナンス費用も膨大になり、その結果、実用化に程遠いシステムとなる。このような欠点を克服するために、我々は、強風域で羽根が過回転になると増大する遠心力の作用で自律的に失速制御を行う機構を有する風力発電システムを開発した。今回、われわれは、強風域において自律的に過回転を抑制するダブルピッチ制御機構の有効性を確認するため(1)風車のダブルピッチ制御機構の改良(強風域において自律的に失速制御が働くダブルピッチエアーブレーキシステムの改良)、(2)翼素理論を用いた失速制御失速制御メカニズムの解析、(3)動的モデルを用いたバネーダンパ系による失速メカニズムの有効性の検証、(4)フィールド試験による本システムの総合的評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、フィールド実験を行い、また、数値計算に照らし併せて、実験用の物理パラメータ(バネ定数)を変化させ、さらに、その実験結果をフィードバックすることにより、目標とするシステムの完成系を目指している。昨年度は、フィールド試験結果を踏まえ、風力発電システムの動的失速制御モデルを再構築し、数値シミュレーションによる失速制御の挙動解析を行うとともに、その結果を再設計に反映させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、最終年度に向けて以下の2点に関し重点的に研究を進めていく。 1)ハンチング現象の緩和:バネのみの失速回復機構ではハンチング現象を伴う。(現在は、初期に比較して充分緩和されている)。従って、バネーダンパ系のメカニズムを導入することは不可欠になる。 2)機構の単純化:現在のハブ機構は非常に精密であり、かつ、機能的であるが、構造が複雑であるため、製造コストやメンテナンスの面から問題がある。従って、構造をよりシンプルにすることにより、製造コストとメンテナンスに係るコストが低減される。(現在、新たな設計・製作を行っているところである。なお、この機構も特許化を考えている)。
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Research Products
(14 results)