2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオディーゼルを着火燃料とする二元燃料ディーゼル機関の特性
Project/Area Number |
22560839
|
Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉本 康文 新潟工科大学, 工学部, 教授 (90167023)
|
Keywords | 二元燃料ディーゼル機関 / 天然ガス吸入 / 水素 / DME / 機関性能 / 排ガス特性 / 燃焼特性 / 燃焼変動 |
Research Abstract |
本研究は、資源および環境面で優位性のある天然ガスを主燃料として吸気管に供給し、着火燃料を燃焼室内に噴射する'二元燃料方式ディーゼル機関'の性能、排ガス特性、燃焼特性について解明することを目的とする。二元燃料ディーゼル機関において、主燃料である天然ガスの供給量を増していくと着火燃料の噴射量が減少するために着火が不安定となり、燃焼変動が生ずる。この場合、希薄可燃限界が広く燃焼速度の高い水素、あるいはセタン価が高いDMEを天然ガスに予混合することで、ディーゼル燃焼の改善が期待できるものと考えられる。 本研究では、天然ガスに対して少量の水素を予混合した結果、高負荷運転を行うことによって通常のディーゼル運転に匹敵する高い正味熱効率に保ちうることがわかった。二元燃料運転では一般に、天然ガスの供給比率を増加させるとCO濃度は増大するが、水素を供給することでCOの顕著な低減が得られた。この原因として水素の高い燃焼速度が着火後の火炎伝ぱによる燃焼を改善し、燃焼領域の拡大が生じたことが考えられた。また、スモーク濃度はガスの種別によらず、ガス燃料供給比率の増加とともに一様に顕著に低減することが明らかとなった。圧縮自着火性の高いDMEを予混合した場合には、運転条件によって燃焼形態が大きく異なることが明らかとなった。すなわち、高負荷において、天然ガスの供給比率が低い場合は正味熱効率が低下し、スモーク濃度が顕著に増加した。一方、天然ガスの供給比率が高い場合にはDME供給によって正味熱効率がわずかに増加する傾向が得られた。これはガス燃料予混合気の着火性が向上し、ディーゼル燃焼を構成する主要な燃焼過程が進角した結果、等容度が増大して正味熱効率の悪化を抑制できたものと考えられた。DME供給に関してはさらに詳細な検討を行い、軽油を噴射せずに安定して燃焼できる条件(予混合圧縮自着火燃焼)を解明する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
着火燃料のセタン価が軽油よりも高い場合と低い場合に関する研究結果を2編の国際会議論文(査読有)にとりまとめた(前者は2011年7月に発表済み、後者は本年9月発表予定)。申請時には不活性ガス供給(CO_2,N_2)の実験を予定していたが、より困難が予想される水素およびDME供給についての実験を前倒しで実施する方針転換を行い、所要の成果を収めることができた。その結果、本研究の最終目標を早期に達成する見通しを得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
主燃料である天然ガスにDMEを予混合してシリンダ内に供給し、軽油を噴射して着火・燃焼を行う二元燃料方式ディーゼル機関の実験を引き続き実施する。この際、ガス燃料供給割合および機関負荷を広範囲に変化させ、機関性能、排ガス特性、燃焼特性に及ぼす影響を詳細に調査する。また、軽油を噴射せずに安定して運転できる条件(予混合圧縮自着火燃焼;PCCI燃焼)を解明する。さらに、NOx低減を目的とした不活性ガス供給(CO_2,N_2)実験を実施する。
|