2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数の転写因子によるクロマチン構造の二段階変化の解析
Project/Area Number |
22570006
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
石原 直恵 (琴村 直恵) 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究員 (50571791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 悟 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00300723)
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Keywords | クロマチン / 転写調節 / プロモーター / ヒストン / アロマターゼ |
Research Abstract |
真核生物のDNAは、ヒストンなどのタンパク質と複合体を形成した状態で細胞核に存在している。この複合体はクロマチンと呼ばれ、DNAを核内にコンパクトに収納する他に、転写、複製、組換えなど様々なDNAの活動に重要であることが明らかになりつつある。 我々は、クロマチン構造が転写に与える影響を解析するモデルとして、アロマターゼ遺伝子を用い、本研究を開始した。アロマターゼは、エストロゲン合成の律速酵素であり、卵巣、胎盤などの生殖器官の他、皮膚、脂肪組織、胎児肝臓など特定の組織で発現している。アロマターゼ遺伝子には複数のプロモーターが存在し、組織毎に選択されるプロモーターが異なる。そこで、胎盤、卵巣、肝臓由来のヒト細胞株として、JEG-3、KGN、HepG2細胞をそれぞれ材料とし、プロモーター領域のヒストンの修飾を比較した。その結果、いずれの細胞株においても、使われているプロモーター近傍には、転写に対し正の効果を持つヒストン修飾が、一方、使われていないプロモーター近傍には、負の効果を持つヒストン修飾が認められた。更に、研究分担者が開発したクロマチン分画法(SEVENS法)を用いて各プロモーターのクロマチン構造を解析したところ、使われていないプロモーター領域のクロマチンにクローズな構造が見られた。これらの結果は、ヒストンの修飾を伴うクロマチン構造の変換によって、複数のプロモーターが使い分けられていることを示唆している。 今後は、今回見つかったヒストン修飾に関わる酵素のノックダウンや過剰発現によるアロマターゼの発現の変化を調べるとともに、クロマチン構造についてより詳細に解析する予定である。
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