2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス下で、正常な複製や転写を保証する酵素の役割
Project/Area Number |
22570007
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
高木 康光 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (20212003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸山 大樹 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (30550850)
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Keywords | ゲノム構築 / ゲノム維持 / ヌクレオチド / 酸化ストレス |
Research Abstract |
種々のフリーラジカルやイオンは、核酸やその前駆体を酸化する。酸化反応により生じる損傷分子は多種存在するが、酸化型塩基8-oxo-Gを含むヌクレオチドにより突然変異や転写エラーが誘導される。この酸化損傷分子を分解する酵素群(MutT遺伝子族:MTH1,MTH2,NUDT5)は類似の活性を持ちつつ同時に、酸化ストレスに応答する多様な細胞機能に関わると考えられるので、特にその詳細な機能が不明であるMth2に焦点を絞り研究を進めた。 1)3つのMutT関連蛋白質のヒト蛋白質と相同性の高い配列を、古細菌や最も原始的な真核生物である原生生物からも多く同定できたので、系統樹を作成して蛋白質の進化的関係を定量的に解析した。示された位置関係より、3つの蛋白質間の距離は離れており、かつそれぞれの蛋白質群内部で、古細菌からヒトまでの類縁関係が形成されている事がわかった。 2)ヒトMTH1およびMTH2酵素が持つ様々なヌクレオチドを基質とする分解活性を、酵素動力学的に解析中である。これまでに、当初の予備実験結果と反して、MTH2酵素にはRNA前駆体である8-oxo-GTPを分解する活性がMTH1と同様に弱いながらも存在する事を見いだした。このことはMTH1と同様にMTH2も、突然変異と転写エラーの抑制にも関与している可能性を示す。 3)MTH2蛋白質が持つ機能の全体像を理解するためにジーンターゲッティングの手法によりMth2遺伝子を欠損したマウスES細胞を樹立し、この欠損ES細胞からMth2ノックアウトマウスを作製する事を試みた。ヘテロ欠損マウス間の交配からMth2ノックアウトマウスが生まれた事を確認したので、本遺伝子の欠損は胎生致死ではないと結論した。
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Research Products
(2 results)