2010 Fiscal Year Annual Research Report
繁殖スケジュールの変動パターンが多年生植物の絶滅確率に与える影響の数理的解析
Project/Area Number |
22570011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 雅 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (90194274)
金子 有子 琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 専門研究員 (90280817)
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Keywords | 多年生植物 / 繁殖スケジュール / 絶滅確率 / 撹乱パターン |
Research Abstract |
本研究で対象としている生活史の異なる木本種2種(トチノキ,サワグルミ)、林床植物3種(エンレイソウ、オオウバユリ、バイケイソウ)について、集団解析に使用する目的で、これまで個体にマーキング処理を施してある永久調査区において、個体の成長、生存、死亡に関わる継続追跡調査を行った。また、生活史パラメーターの変動が個体群の増加率に与える影響を評価する個体群増加率の感度や弾力性を用いる方法について検討が加えられ、トチノキの生命表反応実験(LTRE)という手法を用いる解析をおこなった。また、自然撹乱パターンおよび繁殖スケジュールを組み込んだ数理モデルを開発し、サワグルミのセンサスデータを対象にして試算を行った。 それらの研究の結果,トチノキでは生命表反応実験いう手法を用いることによって,台風という自然撹乱が生息場所依存的に異なる影響をトチノキ集団に与えることや,集団動態の時空間的変動を反映する集団の維持機構、すなわち集団動態のKeys stage, Key processが同定された。この成果については、現在英文論文をJournal of Ecology誌に投稿準備中である。また、サワグルミの数理モデル研究では、ほぼ等間隔に訪れる大型台風の頻度と等間隔に示されるサワグルミのマスティングの協同効果は間隔年を変化させることによって集団動態に大きな影響を与え、集団動態に大きな影響を与えるKey stage, Key processも変化することがわかった。他にもバイケイソウのセンサスデータをもとにして、種子繁殖とクローン成長が個体群構造に及ぼす影響が解析され、オオウバユリでは集団間の環境条件依存的な遺伝的変異について調査が行われた。現在これらの成果の一部が2回の学会発表において公表されている。
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