2012 Fiscal Year Annual Research Report
アリによるアブラムシの育種をもたらす選択的捕食の機構
Project/Area Number |
22570015
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市野 隆雄 信州大学, 理学部, 教授 (20176291)
|
Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
|
Keywords | 共進化 / 共生 / 種特異性 / アリ / アブラムシ / 選択的捕食 / 化学擬態 / 体表炭化水素 |
Research Abstract |
1.今年度は、異なるアリ種に随伴されているヤノクチナガオオアブラムシについてCHCの比較をおこない、アリ種ごとへの特異的な適応と遺伝分化がおこっているかどうかについて調べた。野外で2種のアリ(クロクサアリ、フシボソクサアリ)のコロニーから採集したヤノクチナガオオアブラムシの4齢幼虫と成虫をアリ非随伴の条件下で飼育し、それぞれ脱皮、産仔させることでアリ由来物質を排除した成虫、および1齢幼虫のサンプルを得た。これらのアブラムシのCHCを分析した結果、成虫のアブラムシはそれぞれの随伴アリ種に似た組成のCHCを持っていること、1齢幼虫は、それぞれの随伴アリ種と比較していくつかの化学成分のピークを欠き、2種のアリが共有するピークのみを持っていることが、それぞれ明らかになった。これらの結果から、ヤノクチナガオオアブラムシのCHCは、出生後、成長とともに随伴アリに似たものに変化することが明らかになった。 2.野外で4タイプのアリ(クロクサアリ、フシボソクサアリ、テラニシケアリ、および種間交雑に由来すると考えられる同定不能なクサアリ)、計8コロニーからヤノクチナガオオアブラムシを採集し、mtDNAのCOI領域を用いてこれらのアブラムシの分子系統解析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。①アブラムシは寄主アリ種ごとに組成の異なるCHCを生合成しているにも関わらず、アリ種に対応した遺伝的分化は認められなかった。このことは以下の二つの可能性を示唆している。1) 随伴しているアリ種に合わせてアブラムシがCHCを可塑的に変化させている、もしくは、2) アリによる強い淘汰圧によって、極めて短い時間スケールでアブラムシのCHCが寄主アリに似たものに進化している。②アブラムシは寄主植物種に対応して遺伝的に分化しており、ホストレースを形成していることが強く示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|