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2011 Fiscal Year Annual Research Report

草食獣-植物-植食性昆虫の三者系における局所的適応進化の実証的研究

Research Project

Project/Area Number 22570019
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

佐藤 宏明  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (20196265)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 木村 正人  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (30091440)
Keywordsイラクサ / ニホンジカ / 刺毛 / 被食誘導応答 / AFLP法 / 遺伝的分化 / 植食性昆虫 / 被食率
Research Abstract

1.イラクサの刺毛の植食性昆虫に対する防御機能の有無
イラクサの刺毛が草食獣に対する防御のはたらきがあることは実証されているが,植食性昆虫に対する防御機能の有無に関する実証的研究はなされていない。そこで刺毛がほとんどないイラクサと刺毛を密に生やすイラクサを組にし,63組を野外において昆虫の被食の程度を比較したところ,両者に有意な違いは見られなかった。この結果は,刺毛は昆虫に対して防御機能がないことを示唆している。
2.刺毛密度とシカの被食率の関係
刺毛がシカに対して防御機能があるならば,刺毛密度とシカの被食率には負の相関が認められるはずである。そこで,奈良公園のイラクサが刺毛密度に大きな変異があることを利用し,29個体のイラクサを野外に設置し,シカによる被食率を調べ,シカの潜在的採食圧を考慮して解析したところ,予想に反し,刺毛密度と被食率の間には有意な相関は認められなかった。このことは,刺毛密度がある閾値以上であればシカから食害を受ける危険性に違いがないことを示唆している。そうだとするならば,なぜ奈良公園のイラクサは閾値以上の刺毛を生やしているのか,という新たな疑問が湧く。
3.被食誘導応答による刺毛密度の増加の検証
イラクサの茎を途中から切除し,その後に伸びてくるシュートの葉の刺毛数を調べることで,刺毛密度の被食誘導応答の検証を試みたところ,確かに刺毛密度の増加が見られた。しかし,対照群でも季節的成長にともなう刺毛密度の増加がみられたことから,シュートの切除が刺毛密度の増加をもたらしたとは,この実験からは結論できなかった。
4.アカタテハ個体群の遺伝的分化の可能性
アカタテハ個体群の遺伝的分化をAFLP法によって分析したところ,統計的に有意な遺伝的分化は認められたかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的のうち,形質の遺伝性とイラクサ個体群の遺伝的分化についてはまだ結果が得られていないが,これは残り3年で実施可能であり,おおむね計画どおりに進んでいると言える。

Strategy for Future Research Activity

2011年度に形質の遺伝率を評価するために実生からイラクサを育て,交配実験を試みたが,生育不良のため十分量の個体を得ることができなかったので,2012年度において,再度,交配実験を試みる。イラクサ個体群の遺伝的分化については,試料はすでに採取してあり,2012年度に分析する。2011年度に検証した被食誘導応答は即時応答についてであり,2012年度は遅延応答を検証することにし,これで被食誘導応答の実証実験を完了することにする。

URL: 

Published: 2013-06-26  

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