2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物の組織分化における細胞壁構築のための分子輸送メカニズムの解明
Project/Area Number |
22570033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 隆亮 東北大学, 生命科学研究科, 講師 (90302083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 和彦 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60164555)
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Keywords | 細胞壁 / イネ / キシログルカン / 師管 / 細胞間輸送 |
Research Abstract |
複雑かつ動的な高次構造物である細胞壁を正確に組み立てるためには、その材料や道具となる分子が、適切なタイミングで正確なポイントに輸送されなければならない。本研究においては、主にイネ科植物を材料に、組織分化に重要な役割を担う細胞壁の構築過程における細胞間輸送という点に着目した研究を進めている。これまでの研究で、イネの師部細胞の細胞壁にフコシル化キシログルカンが特異的に蓄積していることを明らかにし、この多糖が師部細胞ではなく伴細胞で合成された後、師部細胞の細胞壁に輸送されていることを示唆する結果を得ていた。本年度は、師部細胞の細胞壁におけるフコシル化キシログルカンの特異的な蓄積が、イネやコムギだけではなく、ショウガ目やラン目の他の単子葉植物の種にも見られることを明らかにし、維管束分化の過程における細胞壁構成成分の細胞間輸送が、イネ科植物特有のものではなく、幅広い植物種で利用されている分子機構であることを明らかにした。またフコシル化キシログルカンの伴細胞から師部細胞の細胞壁へ細胞間輸送を直接証明するために、伴細胞に局在するフコシル基転移酵素遺伝子の発現を抑制したRNAi形質転換体の解析を行った。しかし昨年度に作成したRNAi形質転換体ではフコシル基転移酵素遺伝子の発現を十分に抑制できていなく、細胞間輸送の証明に至らなかった。そこで伴細胞に局在する複数のフコシル基転移酵素遺伝子をターゲットとしたRNAi形質転換体の中から、十分に遺伝子発現の抑制ができているRNAi形質転換体の中から、目的とするRNAiラインの選抜を行った。また師部細胞の細胞壁におけるキシログルカンそのもの役割を解明するために、キシロシル基転移酵素遺伝子の発現を抑制したRNAi形質転換体の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フコシル化キシログルカンの伴細胞から師部細胞の細胞壁へ細胞間輸送を直接証明するためのフコシル基転移酵素遺伝子の発現を抑制したRNAi形質転換体の作製に手間取ってしまったが、十分に遺伝子発現の抑制ができているフコシル基転移酵素遺伝子のRNAi形質転換体の選抜にも成功し、研究全体としては、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
フコース転移酵素、キシロース転移酵素等のキシログルカンの合成酵素の局在をさらに詳細に解析する。またキシログルカンの合成酵素遺伝子の発現を抑制することで、師管細胞のフコシル化キシログルカン量が低下することを明らかにする。以上2点の結果より、師管細胞のフコシル化キシログルカンが、師管細胞以外の師部細胞で合成されていることを明らかにする。加えてフコシル化キシログルカンとフコース転移酵素の動態を細胞レベルで追跡、観察することで、フコシル化キシログルカンが細胞間で輸送されていること証明するとともに、細胞間の分子輸送メカニズム機構モデルを推考する。
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Research Products
(6 results)