2011 Fiscal Year Annual Research Report
苔類ゼニゴケを用いた植物ストレス応答の進化生理学的研究
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22570035
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
竹澤 大輔 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20281834)
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Keywords | 苔類 / ゼニゴケ / 適応 / 進化 / ストレス |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)は、高等植物の種子休眠や発芽、気孔の開閉に関わることで知られるホルモンであるが、下等陸上植物における研究例は少なく、特に、陸上植物の進化の初期に生じたグループである苔類に対するABAの作用は不明な点が多い。本研究では苔類ゼニゴケ(Marchantia polymorpha L.)を用いて、苔類のABA応答の機構を分子レベルで解析することを目的とした。ABAはゼニゴケ無性芽に対し、仮根の成長を抑制するとともに、デハイドリン(DHN)様タンパク質の蓄積を引き起こすことが明らかとなった。交付申請書に記載したうち、プロモーター解析については、ゼニゴケDHNであるDHN1-3プロモーターに結合したGUSレポーター遺伝子(Em-GUS)をゼニゴケ培養細胞に導入する実験を行なった。その結果、ABAはGUSの発現を著しく増大させることが明らかとなった。このABA応答性はプロモーター内のABA応答配列(ABRE)を部位特異的変異により破壊することによって消失した。このことから、進化的に保存されたシス配列がABA応答に重要であることが示唆された。ゼニゴケのABI1オーソログMpABI1遺伝子を発現するヒメツリガネゴケ細胞は、ABA応答性が消失するともに、低温馴化能も失うことが明らかとなった(Bhyan et al.,2011)。これらの結果から、ABA応答にかかわるシグナル伝達機構が陸上植物に保存され、共通のシス配列を介してABA応答性遺伝子発現を制御していることが示唆された。また、交付申請書に記載したABAレセプターの解析については、ゼニゴケから3つの候補遺伝子を単離し、うち一つがABA応答遺伝子の転写を増大させることが示唆された。また、変異株の解析についてもT-DNAタグラインから単離した変異株について、T-DNA挿入位置を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した3つの計画(プロモーター解析、レセプターの解析、変異株の解析)について、ほぼ計画通り実験を進めることができた。プロモーター解析については、計画よりさらに詳細なシス配列情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り実験を進めていく予定である。プロモーター解析とレセプターの仕事については今年度中に論文にまとめる。変異株については、1ラインについてはその変異個所を同定することができたが、さらに変異株の数を増やし、同時に解析も行なっていく予定である。
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