2012 Fiscal Year Annual Research Report
苔類ゼニゴケを用いた植物ストレス応答の進化生理学的研究
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22570035
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
竹澤 大輔 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20281834)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | アブシジン酸 / 受容体 / ゼニゴケ |
Research Abstract |
アブシジン酸 (ABA) は、植物の休眠や発芽、蒸散の調節に関わることで知られるホルモンとして種子植物に普遍的に存在することが知られている。一方、下等陸上植物における研究は極めて少なく、特に、苔類に対するABAの作用は不明な点が多い。本研究ではゼニゴケ(Marchantia polymorpha L. )を用いてABA応答を分子レベルで解析し、陸上植物におけるABA応答の原型的機構の解明を目的とした。 本年度は、交付申請書に記載したゼニゴケABA受容体MpPYL1の機能について、ゼニゴケ内生のDHN1プロモーターの調節機構をGUSレポーター遺伝子(Em-GUS )を用いて解析した。ヒメツリガネゴケ原糸体細胞においては、MpPYL1はDHN1-GUSのABA非依存的発現を顕著に増大させた。一方、ゼニゴケ培養細胞においては、ABA依存的および非依存的発現の両方を活性化した。このABA応答性はDHN1プロモーター内の最も下流にあるABA応答配列(ABRE)を破壊することによって消失した。Deletionプロモーターを用いた実験においてもこれを支持する結果が得られた。このことから、進化的に保存されたシス配列を介してMpPYL1が遺伝子機能の調節を行なうことが示唆された。 次に、シロイヌナズナABA受容体の4重変異体(pyr1/prl1/pyl4/pyl9)にMpPYL1-GFPを導入し、ABA応答に関わる表現型の変化を解析した。種子の発芽におけるABAの影響を解析したところ、4重変異体のABA非感受性が相補され、形質転換体は野生株と同様のABA感受性を示した。また、これら形質転換体においてGFPの蛍光が観察された。これらの結果から、ABA受容にかかわる因子が陸上植物共通であり、ABRE配列を介してABA応答性遺伝子発現が制御されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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