2011 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア型色素体RNA結合因子による葉緑体分化制御機構の解明
Project/Area Number |
22570045
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
楠見 健介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (00304725)
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Keywords | 葉緑体 / RNA結合タンパク質 / リボソームRNA / rrnオペロン / 転写制御 / イネ / シロイヌナズナ / 色素体 |
Research Abstract |
(1)前年度シロイヌナズナで行った、rrnオペロンの5'隣接配列に対するRNA-NUS1結合実験をイネでも行った。その結果、シロイヌナズナと同様に、既知の転写開始点(PC-P1)付近の配列に対応するRNAへの結合活性が高かった。 (2)既知の転写開始点より上流のRNAに対し結合する可能性があるため、P4ステージの葉からRNAを抽出、cDNAを合成し、qRT-PCRにより同領域のin vivoにおけるRNA量を測定したところ、P4初期ステージにおいてもかなりの量のRNAが存在しており、trnVからの読み通し転写の可能性が示唆された。 (3)投稿した論文について、レフェリーからの指摘により、RNA-免沈(RNA-IP)解析、およびDNAと成熟rRNAを対照としたMIS1-rrn 5'leader RNAのゲルシフトアッセイを行った。その結果、NUS1のRNA結合には選択性があり、未成熟rRNAの5'リーダーに特異的に結合することが分かった。なお、論文は受理された(Kusumi et al., 2011)。 (4)前年度作製した、バクテリアNusBと相互作用するリボゾームタンパク質NUSEの葉緑体オルソログタンパク質cpNUSEを用いて、RNA-NUS1-cpNUSEの結合実験を開始した。最終年度、で抗cpNUSE抗体を併用したpNUS複合体との相互作用の検証を進める。 (5)MS1を含む複合体pMSの構成因子の探索のため、Native PAGEと分取用電気泳動装置を用いてpNUS複合体の単離を始めた。シロイヌナズナとイネの若い葉を材料として、抗NUS1抗体での現時点でNUS1抗体で検出できる量の複合体分離には成功していないが、前処理段階でのタンパク質濃縮を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である、NUS1が属するタンパク質複合体pNUSの同定と機能解明を達成するためには、NUS1が結合するRNAシス領域の絞り込みと、pNUS複合体の安定的な検出、それらの組換え蛋白質と抗体の作製が前提となるが、いずれもおおむねデータが揃いつつある。イネとシロイヌナズナの機能改変系統も確立している。それらを用いて最終年度で目標を達成する。
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Strategy for Future Research Activity |
イネとシロイヌナズナで共通して結合活性が高かった、転写開始点付近のRNA配列を基に、NUS1の結合シス領域をさらに絞り込む。BlueNative Pageと免疫沈降、分取用電気泳動装置、質量分析器を組み合わせて、pNUS複合体の実体を調べる。また、本年度から解析を開始しているNUS1との候補会合因子cpNUSEがNUS1と相互作用していた場合、cpNUSEを加えたRNA結合活性の再検証を進めると同時に、cpNUSEの抗体(作成済み)を用いてpNUSの精製精度を上げる。NUS1と同様にNUS機能ドメインを持つNUS2に関しては当初解析を予定していたが、遺伝子の構造、結合領域、機能欠失株の表現型がNUS1と大きく異なることから解析対照から外す。
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[Journal Article] Environmental regulation of stomatal response in the Arabidopsis Cvi-0 ecotype2011
Author(s)
Monda, K., Negi, J., Iio, A., Kusumi, K., Kojima, M., Hashimoto, M., Sakakibara, H., and Iba, K.
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Journal Title
Planta
Volume: 234
Pages: 555-563
DOI
Peer Reviewed
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