2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の相同組換えによる遺伝子ターゲティングの頻度を向上させる組換え系の開発
Project/Area Number |
22570049
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
定塚 恵世 静岡県立大学, 大学院・薬学研究科, 博士研究員 (60517887)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 博司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60126141)
|
Keywords | 遺伝子ターゲティング / 相同組換え / 変異導入 / 植物 / イネ / 形質転換 / バイオテクノロジ / 遺伝子 |
Research Abstract |
ゲノム配列を自在に改変できる遺伝子ターゲティングは、ゲノム配列が明らかとなった生物で早急に求められている手法であるにも関わらず、高等植物では特に遅れており、相同組換えを用いたゲノム改変法の確立と普及が急務である。申請者らは、世界に先駆けて穀物のモデル植物であるイネのゲノムを改変し思い通りの変異体を作出してきたが、ターゲティング頻度が低いため、大規模な実験と材料が必要であった。そこで本研究課題では、高等植物のターゲティングの汎用化を目指し、ターゲティング時の正確な組換え機構を理解し、適切な組換え酵素(λRed系)を一過的に発現させてターゲティング頻度を飛躍的に増加させることを目的とする。さらに、ターゲティング頻度を簡便に測定するためのアッセイ用ベクターも構築し、ターゲティング頻度をさらに向上させることが可能な最適ベクターの構築も試みることも目的である。 今年度は、昨年度完成したλRed系酵素を発現させるためのプラスミドを用いてイネに形質転換し、λRed系酵素を発現したイネの作出に成功した。現在P1温室で育成中である。また、λRed系酵素群を必要なときのみ発現させるための、誘導性プロモーターの導入も検討している。アッセイ用ベクターには特定の点変異が導入されると除草剤耐性となる肌5遺伝子を用いて、イネALS遺伝子が座上するBACプラスミドに特定の点変異を説5遺伝子に導入した。さらに、作成した変異型ALS遺伝子を用いて、ポジティブ・ネガティブ選抜が可能で、アグロバクテリア菌による植物への形質転換も可能な、バイナリーベクターを構築することに成功した。最適な相同領域の長さを決定するため、ネガティブマーカーの内側に、12kb、9kb、6kb、3kb、1.7kbの5種の長さのALS遺伝予領域を持つバイナリーベクターの作成にも成功した。実験はほぼ計画どおりに進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換え酵素で弥る、λRed系酵素を発現したイネの作出にすでに成功しており、また5種類ものバイナリーベクターの作成にも成功している。ゆえに、当初の計画に対しては、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も大きな計画の変更はない。今年度までに作成した、組換えイネを育成し、種子を得る。その後種子からカルスを誘導し、組換え効率の向上に寄与するかを検討する。また、今年度作成した各種のバイナリーベクターを用いて、最も相同組換えの効率の良い相同領域の長さを求める。最終年度は成果のとりまとめを行う。
|