2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物免疫に関わるイネキチンエリシター受容体の構造と機能に関する研究
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22570052
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
賀来 華江 明治大学, 農学部, 准教授 (70409499)
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Keywords | イネ / キチン受容体 / MAMPs / キチンオリゴ糖 / CEBiP / OsCERK1 / 防御応答 / 過剰発現 |
Research Abstract |
植物は病原菌の細胞表層を構成する分子や病原菌が分泌するさまざまの特有な分子(MAMPs)を認識して防御応答を開始する能力をもつことが知られている。この植物の自分自身を守るメカニズムの解明は、環境負荷の少ない且つ耐病性の高い植物の作出の開発につながり、食糧問題の解決の糸口になると考えられる。申請者はいもち病菌の細胞壁の構成多糖であり、MAMPの一つでもあるキチンに注目し、このキチン断片がイネ細胞において活性酸素生成、防御応答関連遺伝子の発現、抗菌性物質の合成などの多様な防御応答を誘導する強い活性を持つことを明らかにし、この応答に関与する重要な2種のイネキチン受容体、CEBiP及びOsCERK1を同定した。両受容体は、ともにキチンシグナル伝達に必須な分子であるが、しかし、CEBiPは、タンパク質の構造予測により、単独ではシグナルを伝達することはできない。このことはCEBiPがOsCERK1様分子と協同してシグナルを伝達すると考えられた。すでに申請者は酵母Two hybrid法によりCEBiPとOsCERK1の細胞外ドメインが潜在的に複合体を形成する能力を持つこと明らかにした。本年度は、作製したMyc標識を付加したOsCERK1イネ形質転換体(OsCERK1-myc)を用い免疫沈降実験を行い、その結果、リガンド依存的CEBiP-OsCERK1受容体複合体を形成することを明らかにした。この結果は植物におけるキチンシグナルの受容機構の解明に大きく貢献した。また、OsCERK1-myc形質転換体の膜画分をホスホリーパゼCで処理した結果から、CEBiPがGPIアンカー型タンパク質であることを立証し、OsCERK1とは異なる分子形状で原形質膜に局在することを明らかにした。一方、大腸菌及びタバコBY2細胞たCEBiP過剰発現系の構築を行い、目的遺伝子が挿入された陽性コロニー及び細胞のスクリーニングを行い、複数のの候補分子を得た。現在これらの候補分子とキチンとの結合解析について解析を進めている。
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Research Products
(20 results)