2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の細胞周期チェックポイントに関わる新規蛋白質の探索
Project/Area Number |
22570055
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂本 綾子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (00354960)
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Keywords | チェックポイント / 細胞周期 / DNA損傷 / 紫外線 / ガンマ線 / リン酸化 |
Research Abstract |
細胞周期チェックポイントとは、DNAが損傷を受けたり複製の過程で何らかの障害が生じた際に、一時的に細胞周期の進行を止め修復などの措置を行うための機構である。本年度は、シロイヌナズナのAtATRIP蛋白質の解析を中心として、高等植物のチェックポイントやDNA損傷応答機構で働くいくつかの重要な遺伝子の機能を明らかにした。 1.これまでの解析で、大腸菌中で発現させたAtATRIP蛋白質に対してシロイヌナズナ核蛋白質画分を作用させるとリン酸化が起こることがわかっている。そこで、今回DNA損傷処理によってこのリン酸化活性が変化するかどうかを解析した。その結果、ガンマ線処理を行った植物から抽出した蛋白質画分を用いると、未処理の植物由来の蛋白質画分に比べてリン酸化活性が上昇した。このことから、シロイヌナズナのリン酸化活性はチェックポイントの活性化にともなって誘導されることが示唆された。 2.DNA複製とチェックポイント応答に関わるAtRPA2蛋白質に着目し、この蛋白質をコードするAtRPA2遺伝子を欠損した植物の解析を行った。その結果、AtRPA2遺伝子の欠損により植物のサイズが矮化し、紫外線に対する感受性が上昇する一方で、稔性が低下することが明らかになった。 3.DNA損傷応答に関与するAtREV7蛋白質をGFPと融合させた形で発現させ、その挙動を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP-AtREV7蛋白質は、DNA損傷処理や複製阻害処理の有無にかかわらす、主に核と細胞質に局在していることがわかった、 4.紫外線、および放射線で処理した植物における突然変異頻度の計測を行い、チェックポイント応答に連動して働く損傷乗り越え型ポリメラーゼの突然変異誘発における機能を解析した。その結果、ポリメラーゼAtRevlが突然変異誘発で中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
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