2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の細胞周期チェックポイントに関わる新規蛋白質の探索
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22570055
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂本 綾子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (00354960)
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Keywords | チェックポイント / 細胞周期 / リン酸化 / DNA損傷 / DNA複製 |
Research Abstract |
細胞周期チェックポイントとは、DNAが損傷を受けたり複製の過程で何らかの障害が生じた際に、一時的に細胞周期の進行を止め修復などの措置を行うための機構である。本年度は、シロイヌナズナの新規チェックポイント蛋白質の探索を中心として、高等植物のチェックポイント応答やDNA損傷応答で働くいくつかの重要な遺伝子の機能を明らかにした。 1.チェックポイントに特異的にリン酸化される蛋白質の探索および同定 ガンマ線処理を行ったシロイヌナズナから蛋白質画分を抽出し、2次元電気泳動にかけることによりDNA損傷によって特異的にリン酸化される蛋白質を探索した。その結果、6つの蛋白質がガンマ線処理によって特異的にリン酸化することを見出した。さらに、検出された蛋白質をトリプシンで処理し、PMF解析にかけることにより、蛋白質の同定を試みた。その結果、RuBisCOを含むいくつかの蛋白質がガンマ線照射によって特異的にリン酸化されることが明らかになった。 2.AtATRIP蛋白質と相互作用する蛋白質の解析 チェックポイント応答で衝くAtATRIP蛋白質と、DNA複製に必須なRPA2蛋白質との相互作用を解析するため、大腸菌中で発現させたAtATRIPのN末領域とHalo-RPA2との相互作用を解析した。その結果、AtATRIPとRPA2はin vitroで相互作用することが明らかになった 3.DNA修復遺伝子と突然変異スペクトルの関係の解析 紫外線、および放射線で処理した植物における突然変異スペクトルの解析を行い、チェックポイント応答に連動して働く修復遺伝子の突然変異誘発における機能を解析した。その結果、塩基除去修復やヌクレオチドプール浄化遺伝子を欠損することにより変異スペクトルに変化が生じることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に設定した目的のうち、AtATRIPと相互作用する蛋白質の解析、チェックポイントに特異的にリン酸化される蛋白質の解析、およびチェックポイント応答に置ける修復遺伝子の機能解析についてはほぼ達成することが出来、新規蛋白質の同定に向けて順調に解析が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度までに行った実験を継続し、チェックポイントシグナルによってリン酸化される蛋白質を検索するとともに、DNA複製やDNA修復に働く蛋白質とチェックポイント蛋白質との相互作用を解析することにより、チェックポイントシグナルがゲノム安定性の保持に与える影響を明らかにする。 研究施設の保守点検等でラジオアイソトープの使用が制限される時期があるため、Non-RIのマーカーを利用した実験方法も検討する予定である。
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