2011 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるユビキチン様タンパク質RUB/Nedd8修飾制御機構の解明
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22570056
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大野 豊 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (30343940)
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Keywords | オーキシン / シロイヌナズナ / COP9シグナロゾーム / Nedd8 / RUB / ユビキチンE3リガーゼ |
Research Abstract |
本研究は、植物ホルモン・オーキシンの情報伝達に関わる新規因子SMAP1遺伝子の機能について、ユビキチンと類似したRUB/Nedd8によるタンパク質修飾機構との関連に着目し解析することを目的としている。これまでの研究からSMAP1は、標的タンパク質からの脱RUB/Nedd8化反応を行うCSN複合体と物理的に結合していることが明らかになっていた。また、SMAP1遺伝子が欠失したシロイヌナズナ変異体aarl-1とCSNサブユニットに異常のある変異体(csn5a-1)との二重変異体の解析から、SMAP1はCSNの機能を補強するような方向で働いていることが推定された。そこで、本年度は、CSN複合体の活性(RUB/Nedd8修飾されたタンパク質からRUB/Nedd8をイソペプチダーゼ活性により遊離させる)とSMAP1の関係を調べるため、先の二重変異体におけるRUB/Nedd8化の状況を、主要な被RUB/Nedd8修飾タンパク質であるCULLIN1タンパク質の抗体を用いてウエスタン法によって調べた。しかしながら、二重変異体におけるRUB/Nedd8化CULLIN1と非RUB/Nedd8化CULLIN1の比は、csn5a-1のそれとはっきりした違いがみられなかった。これとは別に、csn5a-1変異体に35SCAMVプロモーターでドライブしたSMAP1-GFP遺伝子を導入・発現させたところ、csn5a-1変異体ゐ特徴である綾化形質が部分的に解消された。このことから、SMAP1は不完全なCSN機能による形態変化を部分相補する機能を持つことが示唆された。二重変異体の解析と同様にウエスタン法によりRUB/Nedd8化CULLIN1と非RUB/Nedd8化CULLIN1の比を調べたが、csn5a-1のそれとはっきりした違いはみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウエスタン法で作業仮説を支持する明確なデーターを得ることができなかった。また、CSN複合体とSMAP1との物理的結合に関しては、十分な実験時間・試料が確保できず、当該年度において実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験結果をまとめて、論文を発表する予定である。CSN複合体とSMAP1との物理的結合に関して今後実験を行い、SMAP1の生化学的機能を明らかにする予定である。またRUB/Nedd8化阻害剤が手に入ったので、それを用いた実験も行い、植物体の形質解析からのSMAP1の機能解明も継続していく予定である。
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