2011 Fiscal Year Annual Research Report
光屈性を制御するフォトトロピンシグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
22570058
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒井 達也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10360554)
|
Keywords | 遺伝学 / 環境 / シグナル伝達 / 植物 / 生理学 |
Research Abstract |
植物ホルモン・オーキシンは、植物細胞の伸長・分裂・分化・機能、様々な制御を行なっている。オーキシン分布パターンの調節機構は、植物形態形成のモルフォゲンとして唯一知られているオーキシンの機能調節に必須の分子機構だが、その詳細は未だ明らかになっていない。本研究は植物の環境刺激に応答したオーキシン分布調節機構の一つとして光屈性に着目し、その分子機構の解明を行う。具体的には、光屈性を誘導する光受容体フォトトロピンが、どのようなシグナル伝達経路を介してオーキシン輸送体の機能を制御し、オーキシン不等分布を誘導するのかを明らかにする。本研究によって、オーキシンを介した植物細胞の機能調節メカニズムの理解に貢献する。 H22年度の研究によりphot1によるRPT2転写後発現誘導機構は、暗条件下、RPT2 C末端領域を介し・てRPT2タンパク質が積極的に分解されており、phot1の活性化によって安定化していることを明らかにした。H23年度はさらにその分子機構解析を進め、RPT2はユビキチン化されていること、さらにユビキチン/プロテアゾーム経路を介して暗条件下に分解されること、ユビキチン過剰発現は青色光条件下でもRPT2分解を誘導し光屈性に異常を生じさせることを明らかにした。現在、RPT2の分解と安定化に関与するドメイン解析を進めている。その詳細を明らかにすることによって、研究目的であるphot1のタンパク質安定化制御という生化学的機能を解明するとともに、なぜ積極的にRPT2が、暗条件下にATPを使って分解される必要があるのか、その生理学的意義についても解明する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した研究課題の一つ、RPT2の転写後発現制御については、H24年度にはほぼ計画通り研究成果がでるように進展している。またNPH3の脱リン酸化制御についても現在いくつかの成果がでており、H24年度に計画通り、成果がでる可能性が高い。またphotによるPINの修飾機構については、まだほとんど研究が進んでいないが、pin変異体の光屈性への関与の遺伝学的モデルを構築しつつあり、計画とはこと客るものの成果が出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、これまでの研究結果をまとめ、論文や学会での発表につなげていく予定である。
|
-
[Journal Article] The main auxin biosynthesis pathway in Arabidopsis2011
Author(s)
Kiyoshi Mashiguchi, Keita Tanaka, Tatsuya Sakai, Satoko Sugawara, Hiroshi Kawaide, Masahiro Natsume, Atsushi Hanada, Takashi Yaeno, Ken Shirasu, Hong Yao, Paula McSteen, Yunde Zhao, Ken-ichiro Hayashi, Yuji Kamiya and Hiroyuki Kasahara
-
Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 108
Pages: 18512-18517
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-