2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓成熟化欠損マウスを用いた肝臓の基本単位(肝小葉)の新規構築メカニズムの解明
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22570063
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 教授 (70162568)
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Keywords | 肝小葉 / C/EBPα / 胆管形態形成 / アレイ / 細胞間相互作用 / キメラ / 組織構築 / 遺伝子欠失マウス |
Research Abstract |
肝特異的転写因子であるC/EBPαの遺伝子欠失マウス(ヌル型)では、肝細胞の成熟化が抑制されると同時に、肝小葉構築が著しく乱れる。肝細胞様細胞が多数の偽腺管構造をつくり、かつ門脈域等で線維化がおこる。そこで、肝小葉構築の分子機構を解明するため、ヌル型および野生型マウス胎児肝臓間で行ったアレイ解析から、ヌル型で大きくアップする分泌型因子として、PDGFC、CTGF等、ダウンするものとして、angiopoietin-like 3、neuritin 1等を得た。これらの因子は肝小葉構築に関わる液性因子である可能性があるので、その発現解析を、RTPCR法、in situhybridization法を用いて行った。angiopoietin-like 3、neuritin 1、CTGFは肝細胞で発現しており、これらは肝細胞の成熟化や血管形成などの肝小葉構築に関わる可能性がある。PDGFCは野生型では発現細胞があまりはっきりしなかったが、ヌル型の場合、門脈域胆管上皮細胞であった。ヌル型肝臓における線維化は胆管上皮細胞によって産生されたPDGFCによる可能性がある。また、Sox9やSox4、Osteopontinなどの発現が胆管上皮細胞に限局しており、これらは胆管上皮細胞の分化マーカーになることが期待される。平行して、肝小葉構築に関わる細胞間相互作用を明らかにするため、DsRedマウス(C/EBPα遺伝子座は野生型)と、C/EBPα遺伝子欠失マウス間でキメラマウスを作出、現在、解析中である。
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