2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓成熟化欠損マウスを用いた肝臓の基本単位(肝小葉)の新規構築メカニズムの解明
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22570063
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学部, 教授 (70162568)
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Keywords | 肝小葉 / C/EBPα / 胆管形態形成 / 細胞間相互作用 / アレイ / キメラ / 組織構築 / 遺伝子欠失マウス |
Research Abstract |
肝特異的転写因子であるC/EBPαの遺伝子欠失マウス(ヌル型)では、肝細胞の成熟化が抑制されると同時に、肝小葉構築が著しく乱れる。肝細胞様細胞が多数の偽腺管構造をつくり、かつ門脈域等で線維化がおこる。そこで、肝小葉構築の分子機構を解明するため、ヌル型および野生型マウス胎児肝臓間で行ったアレイ解析から、ヌル型で大きくアップする分泌型因子として、PDGFD、TGFβ、fonistatin-like 1等、ダウンするものとして、inhibin βA鎖、FGF (fibroblast growth factor)1、IL(interleukin)-16等を得た。これらの因子は肝小葉構築に関わる液性因子である可能性があるので、その発現解析を胎児肝臓においてRT-PCR法を用いて行ったところ、アレイ解析の結果を確認することができた。さらに、HNF4α、HNF1αなどの肝特異的転写因子や胆管形成転写因子Sox9の発現解析を行ったところ、ヌル型肝臓では各転写因子がモザイク的に発現し、野生型肝臓とは大きく異なることがわかった。この結果はヌル型肝臓では、肝特異的転写因子が不安定であることを示している。これに関しては解析をさらにつめる必要がある。また、平行してキメラ作出を行ったが、現在までのところ、ヌル型と野生型細胞からなる、目的のキメラ個体は得られていない。 外国での成果発表は平成24年度の予定であったが、肝臓の発生・再生において世界的権威の米国・ワシントン州立大学医学部N.Fausto教授によるシンポジウム(The Nelson Fausto Symposium)に招待されたので、今年度に成果を発表し、その交通費を計上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C/EBPα遺伝子欠失マウスの繁殖が期待以上に進まないこと、キメラ作出に用いるC/EBPα遺伝子欠失マウス胚のうち1/4のみがヌル型なので目的のキメラ作出の効率が悪く、キメラ個体の作出が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
キメラ作出実験に関しては、C/EBPα遺伝子欠失マウスのコロニーサイズを大きくし、キメラ作出実験の数を増やす必要がある。
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