2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚機能の根幹を支える内耳蝸牛血管条のエネルギー供給システムの全貌
Project/Area Number |
22570064
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安藤 元紀 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (20222789)
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Keywords | 内耳 / 血管条 / ラセン靭帯 / GLUT / SGLT / グルコーストランスポーター / real-time PCR |
Research Abstract |
本研究の目的は,聴覚機能の根幹を支える内耳蝸牛血管条のエネルギー供給システム(糖輸送システム)の全貌を明らかにすることにある。血管条は生体内で最も高い代謝活性を示す上皮組織の一つであるが,そのエネルギー消費を支えている糖輪送システムは未解明である。本研究課題の遂行により,内耳正常機能の解明に加えて,新たな内耳病態の原因遺伝子の登見にもつながる可能性がある。 今年度は,(1)血管条・ラセン靭帯における糖輪送体(受動輸送体/二次性能動輸送体)の遺伝子発現プロファイルの解析,および(2)発現が確認された糖輪送体分子についての定量PCR(real-time PCR)解析,を主な目的とした。結果を以下に示す。 血管条およびラセン靭帯を含む蝸牛管側壁においてGLUT型のアイソタイプに関しては,現在までにGLUT-1の免疫活性が報告されているのみであり,SGLT型については報告が無い。そこで,これまでに13種のアイソフォームが登録されているGLUTファミリーについての遺伝子発現解析を行った。その結果,蝸牛管側壁においてはGLUT-1に加えて7種(計8種)のアイソフォームが発現していることが確認された。また,これまでに4種のアイソフォームが登録されているSGLT型についてはどのアイソタイプの発現も確認されなかった。上記結果を踏まえて,遺伝子発現が確認されたGLUT型の8種のアイソフォームについてreal-time PCR解析を行った。その結果,血管条とラセン靭帯において組織依存的にそれらの発現量が異なることが判明した。今後は,遺伝子発現の確認されたアイソタイプのタンパク質亮現およびそれらの組織内局在を明らかにする必要がある。
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