2011 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚機能の根幹を支える内耳蝸牛血管条のエネルギー供給システムの全貌
Project/Area Number |
22570064
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安藤 元紀 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (20222789)
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Keywords | 内耳 / 血管条 / ラセン靭帯 / GLUT / SGLT / HMIT / SMIT |
Research Abstract |
昨年度は,GLUT型およびSGLT型の遺伝子発現プロファイルについて,一般的なRT-PCR法およびreal-time PCR法により網羅的な解析を行い,内耳血管条内に複数の糖輸送体遺伝子が発現していることを明らかにした。今年度は昨年度の結果を踏まえて,糖輸送体分子のタンパク質発現解析,単離血管条構成細胞を用いた糖輸送体の局在解析,および免疫電子顕微鏡法による糖輸送体の局在解析を行った。以下に得られた結果の概要を示す。 昨年度の課題でその遺伝子発現が確認された糖輸送体分子について,タンパク質の発現を確認すると同時にその局在を免疫組織化学的に解析した。陽性シグナルが比較的強く認められたGLUT4,-10,-13(HMIT)に着目した。GLUT4,-10については血管条内でその陽性シグナルが確認されたが,同時に成獣だけでなく幼若動物の発達段階に応じた発現量の変化を調べる必要があることが判明した。また,ミオイノシトール輸送体の一つであるHMITについては血管条でその強い陽性シグナルが認められた。現在,単離血管条細胞を利用した免疫組織化学法と血管条全層標本を用いた免疫電子顕微鏡法を併用し,血管条構成細胞ごとの糖輸送体の発現の違いについて解析を進めている。 ミオイノシトール輸送体については,HMITに加えてNa^+との共輸送体であるSMIT(GLUT型遺伝子ファミリーに属さない)が知られており,RT-PCR法により調べたところ血管条組織にその遺伝子発現が初めて確認された。ミオイノシトールは細胞内情報伝達や浸透圧調節など多様な機能を有しており,今後注目すべき輸送体と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度については,全体計画の中で予定していた結果が得られた(論文投稿中)。ただし,免疫電子顕微鏡法による解析では,抗体によっては条件設定が困難な場合があった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年度)については,今年度までに得られた個々の糖輸送体の発現やその局在解析の結果を元にして,生理的な実験を行い内耳における糖輸送機構の全体像を明らかにするとともに,生後2週間までの発生段階に応じた糖輸送体の発現量の違いに注目する必要がある。
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