2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経葉ホルモンの脳-行動制御機能の解析:広塩性両生魚と雄性胎生魚からの新しい展開
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22570065
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 竜哉 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10294480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 浩隆 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20363971)
御輿 真穂 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (00527997)
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Keywords | バソトシン / イソトシン / トビハゼ / 環境 / 神経行動 / 脳 / 国際研究者交流 / ニュージーランド |
Research Abstract |
まず、トビハゼが陸上に出ると神経葉ホルモン、特にバソトシンの発現が高まることを見出した。そして、脳室内投与により、これらのホルモンは脳内で作用し、水中への移動を誘起することを発見した。 次いで、この脳におけるバソトシンとイソトシンの神経回路を解析した。トビハゼ脳をブアン固定し、パラフィン切片を作製した。最初に、H-E染色、Nissl染色により、脳の基本構造を把握した。多くの脊椎動物と異なり、脳下垂体が視床下部にほぼ埋没していた。これは他のハゼ科でも報告されている。続いて、バソトシンとイソトシンの二重免疫組織化学を行った。バソトシンとイソトシンは主として視索前核の異なったニューロンに存在しており、バソトシンニューロンの方が多数存在する。これらは下垂体を中心に広い範囲に投射しており、繊維の投射の数もバソトシンの方が多い。下垂体以外では、バソトシンニューロンの繊維は、視床下部の背側部や尾側部に多く分布し、終脳や延髄さらには脊髄にも投射していた。視床下部背側部は体液調節の中枢と考えられており、バソトシンの一義的な作用とあっている。イソトシンニューロンの繊維も視床下部の尾側部に多く投射していた。やはり延髄への投射も見られた。 これらの結果より、バソトシンとイソトシンは視索前核の異なるニューロンで主に産生され特異的に制御されていると、それぞれ脳内の特異的な部位で働いている可能性が、トビハゼにおいても示された。トビハゼの水中への移動において、両ホルモンは脳室内投与で同様の効果を示すので、どちらのホルモンのニューロンも投射している視床下部の尾側部や延髄がこの行動に関与しているのかもしれない。別の部位への投射は、バソトシンは血圧・体液調節や攻撃行動に、イソトシンは飲水行動など、それぞれ特有の作用に関係していると思われる。
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Research Products
(5 results)