2012 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の加齢と連合学習の獲得に関する分子基盤と神経基盤の結合的解析
Project/Area Number |
22570071
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松浦 哲也 岩手大学, 工学部, 准教授 (30361041)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 線虫 / 電気生理学的解析 / 学習 / 物質間相互作用 |
Research Abstract |
線虫(Caenorhabditis elegans)は、行動やそれを制御する神経系、さらには遺伝子との関連性を結びつけることのできる数少ないモデル生物の一つである。動物行動を支配する分子基盤は遺伝子であるが、線虫の発現行動を直接制御している神経系についてはほとんど知見が得られていない。その理由は、線虫の体長とニューロンの小ささにあり、技術的な困難をともなうためである。申請研究では、技術的な問題をクリアしながら、連合学習獲得における神経基盤の解明およびその加齢変化について電気生理学的解明を試みた。 申請研究に関連して、忌避物質2-ノナノンと誘引物質ジアセチルの間に物質間相互作用が存在することを発見し、新たな学習実験の構築に成功した。2-ノナノンを感知するのはAWB感覚ニューロンであるが、このニューロンに蛍光タンパク質GFPを発現させた変異体が存在する。この変異体を入手し、匂い-エサ連合学習獲得後のGFP発現AWBニューロンをターゲットとして活動記録を行った。 安定した活動記録法を検討した結果、ガラス管微小電極の細胞内への挿入およびパッチクランプ法の応用によるニューロン活動の記録に部分的ではあるが成功した。暗視野での電極のアプローチに工夫が必要であるが、線虫の神経生理学的研究分野における大きな一歩であると確信している。安定したデータの獲得および刺激時のニューロン活動の記録と解析が今後の課題である。 さらに、ジアセチルに対する嗅覚順応の持続時間を解析した結果、順応の獲得や持続に活性酸素が関与していることが判明した。また、学習獲得時のニコチンの影響についても解析し、急性的なニコチン摂取が学習の阻害を引き起こすことや、この過程にセロトニンが大きく関与していることを明らかにした。学習獲得過程における各物質作動性ニューロンの機能の一端を解明することができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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