2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570073
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
松下 敦子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (50450416)
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Keywords | 弱電気魚 / 抑制性シナプス / 神経会達物質 / Calyx of Held |
Research Abstract |
弱電気魚ジムナルカスの後脳内細胞層における時間情報処理神経回路のシナプス伝達様式を明らかにするため、抑制性神経伝達物質の関連マーカーの探索・局在調査を免疫組織染色法によって行なった。その結果、いくつかの関連マーカー抗体が有効であり、今後の研究の進展につながる成果となった。 ジムナルカスの内細胞層の時間情報処理回路は、体表の異なる地点に由来する時間情報を担う電気感覚神経の終末と巨大細胞の神経終末が、1個の卵形細胞の樹状突起と細胞体にそれぞれシナプスをつくって構成されている。この神経回路のシナプスに注目して、光顕レベルの免疫組織染色を行なった。免疫染色に用いる脳組織切片の作製には抗体によって試行錯誤を要した。実験の結果、巨大細胞神経終末では、グリシン、グリシン受容体、パルブアルブミン(抑制性Ca結合タンパク)の強い免疫反応性がみられた。また卵形細胞には、γ-アミノ酪酸(GABA)、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)の強い免疫反応性がみられた。これまでのところ電気感覚神経の終末には陽性反応はみられていない。その他、上記のマーカーおよびジェフィリン(GABA/グリシン受容体マーカー)、GABA受容体などで、内細胞層およびその周辺に免疫陽性反応が見られた。引き続き電顕レベルの免疫組織染色を行なって、詳細な局在を明らかにする。 以上の結果から、内細胞層での時間情報処理に抑制性入力が関わっていることがわかった。また、抑制性の巨大神経終末が卵形細胞の細胞体に終末していることは、巨大細胞がシナプス前抑制として働いていると考えられ、これが時間情報処理にどのような役割を果たすのか興味深い。
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Research Products
(7 results)