2011 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫を用いた行動と神経系の可塑的性質についての研究
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22570074
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
加納 正道 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80183276)
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Keywords | コオロギ / 空気流感覚 / 尾葉 / 逃避行動 / 行動補償 / 可塑的性質 / 巨大介在神経 |
Research Abstract |
コオロギは空気流刺激に対し、反対方向へと逃避行動を発現する。空気流の感覚器である機械感覚毛が密生している1対の尾葉の片側を除去すると、逃避の方向が不正確となるが、自由歩行できる環境で飼育すると、約2週間で逃避方向に補償的回復が見られる。これまでの研究で、コオロギの神経系は自分が動いたことにより生じる自己刺激空気流の方向を基準として、その機能を修正していること、また、体を固定した状態で引き起こされた歩行運動(静止歩行)に同調して与えられた人工の空気流刺激(偽自己刺激空気流)も、回復に有効に作用することが明らかとなっている。 今年度は、昨年度に引き続き片側尾葉を切除したコオロギを静止歩行させ、その際に同調して与える偽自己刺激空気流のタイミング、あるいはその持続時間を様々に変化させることにより、それぞれの刺激が逃避方向の補償的回復におよぼす影響を調査したが、昨年度との相違点は刺激空気流の強度(流速)を2倍に変化させたことである。偽自己刺激空気流によるトレーニングは2週行った。その結果、昨年度に明らかとなった偽自己刺激空気流の持続時間と、それを与えるタイミング(自発歩行開始からの潜時)に加え、刺激強度も行動の補償的回復を引き起こす上で重要な要素であり、前記2つのパラメータとも取引(trade)可能な要素であるらしいことが明らかとなってきた。すなわち、昨年度の調査で回復が見られなかった持続時間50msec、潜時500msecの偽自己刺激空気流刺激においても、刺激流速を2倍にすることにより回復が見られることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の予定に沿って進められ、平成22年度、平成23年度ともに今後の研究の進展を期待できるような新しい知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に明らかとなった補償的行動変化に対する刺激空気流速の影響について、異なる偽自己刺激空気流の持続時間とそれを与えるタイミング(自発歩行開始からの潜時)においての調査も行い、さらにデータを蓄積していく。また、片側尾葉切除後の神経レベルでの機能変化についても電気生理学的手法を用いて解析を進めていく。
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Research Products
(3 results)