2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570075
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
豊田 ふみよ 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10244708)
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Keywords | 有尾両生類 / 性フェロモン / ホルモン / 鋤鼻嗅覚上皮 / 求愛行動 / ステロイド |
Research Abstract |
本研究は1)最近我々が新たに発見した、雄イモリ腹腺由来の雌誘引ステロイドフェロモンの生理作用の解明、2)このステロイドフェロモンと我々がすでに明らかにしたペプチドフェロモンとの相互作用の追究、3)両生類で初めての雄誘引フェロモンの解明を主な柱として、イモリ生殖行動発現に向けての雌雄のフェロモンの役割を明らかすることを目的としている。すでに、我々は雄イモリ腹部肛門腺由来の雌誘引ステロイド画分の二つの成分プレグネノロンとアンドロステンダイオンとソデフリンを組み合わせるとソデフリン単独よりも強い雌誘引効果がみられること、雌誘引ステロイドが腹部肛門腺で合成されることを明らかにしている。本年度の当初の研究計画は、1)雌誘引ステロイドの受容部位の解析を行う。1)両生類で初めての雄誘引フェロモンの解明に着手することであった。得られた成果は、1)腹腺由来の雌誘引ステロイドであるプレグネノロンとアンドロステンダイオンに対する繁殖期雌イモリの嗜好性が嗅覚阻害により消失することを行動学的に明らかにした。さらに、プレグネノロンとアンドロステンダイオンを性的に発達した雌イモリの鋤鼻嗅覚上皮に作用させた結果、嗅電図応答が生じることを確認した。このことから雌誘引ステロイドの作用部位が鋤鼻嗅覚上皮であることを確認した。また、2)雄誘引フェロモンの単離・同定を目的として、雌輸卵管水抽出物より雄誘引活性を有する物質の単離をゲルろ過および高速液体クロマトグラフィーを用い、行動実験によりその活性を調べた。その結果、輸卵管水抽出物のタンパク質分解酵素処理結果から推定されていた通りペプチドであることを確認したので、アミノ酸シークエンサーを用いてアミノ酸配列を分析した。現在、作成された合成品を用いて生理作用の解明を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23度において当初計画していた雄腹線由来の雌誘引ステロイドの受容部位を電気生理学的に調べ、雌誘引ステロイド刺激により雌の鋤鼻嗅覚上皮で嗅電図応答を観察することができた。すなわち、雌誘引ステロイドは核受容体に作用するのはなくてニューロステロイドのように細胞膜上の受容体に作用する可能性を見出した。また、新たに、雄誘引フェロモンの単離・同定・作用のための研究に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
雌誘引効果におけるステロイドとソデフリンの相加効果が嗅電図応答においても見られるのか確認する。さらに、よく反応する部位の細胞をとりだしてステロイド存在下でCaイメージング法や膜画分との結合実験を通して作用メカニズムを明らかにする。また、中枢へのステロイド応答投射経路を明らかにするまた、雌輸卵管由来の雄誘引フェロモンの受容部位を行動学的・電気生理学的に明らかにする。雌誘引ステロイド合成能がどのようなホルモンで維持されるか、また腹腺から体外への分泌調節のしくみについて調べる。また、雄誘引フェロモンの合成品を用いて有効量の決定、作用部位の確認等、作用メカニズムを明らかにしてゆく。
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