2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570077
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
松尾 亮太 徳島文理大学, 香川薬学部, 講師 (40334338)
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Keywords | 軟体動物 / 偏側性 / 嗅覚忌避学習 |
Research Abstract |
ナメクジの嗅覚忌避学習においては、高次嗅覚中枢である前脳葉の存在が必須であり、両側の前脳葉が破壊されると記憶の成立や想起が不可能になる(Kasai et al.2006)。一方、条件づけ直後に体腔内に蛍光色素(Lucifer Yellow)を投与されたナメクジでは、左右いずれか片方のみの前脳葉のニューロンに、学習特異的に色素が取り込まれることが報告されている(Kimura et al.1998;Ermentrout et al.2001)。しかしこの現象は、学習時に左右いずれか片方の前脳葉しか使われていないということを直接示しているわけではない。そこで、条件づけ前、あるいは条件づけ後に左右いずれか片方の前脳葉を破壊した場合の成績を調べたところ、いずれの場合も非破壊群と両側前脳葉破壊群の間の中間程度の成績を示した。さらに、破壊する前脳葉と同じ側の大小触角を切除した群では、成績の低下が認められなかった。このことから、嗅覚入力が両側から入ってくる場合は、左右いずれか片方の前脳葉がランダムに使用されるが、嗅覚入力が片側のみからに限局されている場合には、かならず同側の前脳葉が使用されることが明らかになった。また、両側の前脳葉が存在する状態で学習させ、その後一週間経過した後に片側の前脳葉を破壊した場合でも、学習直後に破壊した場合と同程度にまで成績が低下したことから、片側の前脳葉に貯蔵された記憶が、時間の経過とともに反対側の前脳葉に反対側へ転送され、両側で共有される、ということは起こらないことが示された。以上の結果は、2010年のNeurobiol Leam Mem誌に発表された。
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