2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミツバチの尻振りダンス解読に関わる異種感覚統合神経機構の解明
Project/Area Number |
22570079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 助教 (20330897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 英利 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (80176114)
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Keywords | 脳・神経 / 行動学 / 神経科学 / 昆虫 / 生理学 |
Research Abstract |
今年度はミツバチの通信行動のうち匂い通信に注目し、巣内行動およびトラックボールを用いた歩行行動の解析を行い、それに関連する論文3編と国際シンポジウムでの招待講演を含む13件の学会発表、および尻振りダンス解読に関わる聴覚神経機構に関して専門書(Ai and Itoh, 2011)を執筆した。 1.採餌行動における匂いコミュニケーションの解析 蜜源の匂い情報が巣内で仲間にどのように伝達されるかを、情報送信者と情報受信者の両面から解析した。その結果、蜜源の匂い情報は尻振りダンスのみならず"口器接触"によって巣仲間に伝達されることが分かってきた。より詳細な解析の結果、尻振りダンスによる通信行動が、口器接触により促進されることが分かってきた。 2.古典的匂い条件づけにより制御されたミツバチの2つの歩行行動様式 上記のように尻振りダンスによる通信行動は、追従個体の口器接触による嗅覚学習と関係していることが示唆される。本年度は条件づけにより特定の匂いを学習した個体の、その匂いに対する歩行行動様式を、トラックボールを用いた行動解析システムにより解析した。あらかじめ学習の成立した匂いにより左右交互にターンをしながらゆっくり前進するジグザグ歩行が生じ、学習の成立していない匂いにより任意の一方向にターンしながら広い範囲を歩き回る回転歩行が生じることがわかった。 3.尻振りダンス解読の一次中枢の解析 尻振りダンスのベクトル情報を受容する2つの感覚器官(ジョンストン器官と頸部器官)由来ニューロンがともに食道下神経節背側領域に収斂し終末していることが分かった。さらにこの領域で、蜜源への距離解読に関わることが示唆されている振動応答性介在ニューロンDL-Int-1の樹状突起が、方向情報を受容する頸部器官ニューロン終末と近接していることが分かった(Ai and Itoh, 2011)。
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