2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を基礎にした単子葉植物の新規分類形質の探索と初期進化の研究
Project/Area Number |
22570090
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 理学研究科, 教授 (60089604)
|
Keywords | 単子葉植物 / 分類形質 / 発生学 / 花 / 形質進化 / サトイモ科 / ショウブ科 / キンコウカ科 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ゲノム情報に基づく系統解析結果を背景にして、雌雄生殖器官の発生形質に焦点を当てて「新しい」分類形質を探索することである。そのために、原始的単子葉植物であるショウブ科、サトイモ科、チシマゼキショウ科について、いろいろな発生段階の葯・胚珠・種子を採集したのち、それらの樹脂切片を作成し、(光学+電子)顕微鏡による観察を行い、そこから得られる50以上の形質に基づいて、科間、属間の厳密な比較研究を行う。 本年度は、3科のそれぞれについて、材料の採集とともに、葯、胚珠、種子の発生の全般を観察してきた。比較研究は現在進行中であるが、サトイモ科の内乳形成様式についてこれまでの研究成果をまとめて発表した。この研究によって、Orontioideae(バショウ属、ミズバショウ属、Orontium)の生材料の研究と文献の精査により、サトイモ科の内乳が従来は多様(Cellular, Helobial, Nuclearの3型がある)と言われていたが、実際にはショウブ目、サクライソウ目と一致するCellular型であることを明らかした。また、その特徴を単子葉植物の系統樹に照らしてみることにより、サトイモ科は単子葉植物の中でも原始形質を保有していることが分かった。内乳の発生様式について、近隣のチシマゼキショウ科からはHelobial型が知られていたが、Helobial型とNuclear型が存在することを明らかにした。 この他に、ショウブ科とチシマゼキショウ科については、切片作成とデータの解析を進め、研究の一部がほぼ終了しつつある。また、サトイモ科については、採集が終わっているザゼンソウの切片作成と観察を進めてきた。一方、ミズバショウ、ヤマコンニャク、マムシグサ、カラスビシャクの採集も行ってきた。さらに、キンコウカ科の大部分の研究材料は採集と観察をほぼ終えて、現在花の構造と雌雄生殖器官の発生形質に関する研究成果を論文発表するためにまとめている。
|
Research Products
(1 results)