2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を基礎にした単子葉植物の新規分類形質の探索と初期進化の研究
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22570090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 理学研究科, 教授 (60089604)
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Keywords | 単子葉植物 / 分類形質 / 発生学 / 花 / 形質進化 / サトイモ科 / ショウブ科 / キンコウカ科 |
Research Abstract |
本年度当初の計画は以下の通りであった。 (1)「ショウブ科とチシマゼキショウ科については、切片作成とデータの解析を進め、23年度の終わりまでに研究を終了する。」 ショウブ科については23年度中に研究がほぼ終了し、現在研究成果公表のため原稿を作成中である。チシマゼキショウ科についても、かなり研究は進んだが、一部の観察が24年度に残された。 (2)「サトイモ科の研究材料のうち、採集が終わっているザゼンソウの切片作成と観察を進める一方、ミズバショウ、ヤマコンニャク、マムシグサ、カラスビシャクの採集を行い、データの収集を行う。 サトイモ科についての研究も順調に進んでいる。ただし、ザゼンソウ、ミズバショウと同じ原始サトイモ群に属するGymnostachysとOrontium(国内では国立科学博物館つくば実験植物園で栽培されている)についても研究を進めてきた。 (3)「真正単子葉植物ヤマノイモ目キンコ'ウカ科の研究データが、平成22年度の研究によってそろいいつつあるため、さらにデータの一部を補充して研究を完成する。これに加えて、原始的単子葉植物3科やキンコウカ科との比較をするために、ヤマノイモ目タシロイモ科についても研究を進める。」 キンコウカ科については23年度中に花の解剖の研究がほぼ終了したため、現在、研究成果をまとめて論文の原稿を作成中である。研究成果は、学会において口頭発表を行った。ただし、発生研究の一部は24年度の春に残した。タシロイモ科の研究もかなり進んでいるが、確認のための一部の観察を24年度に残した。 また、本研究の目的である分類形質の評価のために、チシマゼキショウ科の分子系統解析、双子葉植物(アーウィンギア科とニガキ科Leitneria)について、葯、胚珠、種子の発生について論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に向かって、計画はおおむね順調に進展している。しかし、研究の手法は葯、胚珠、種子の発生を克明に追跡することを必要とし、対象とする植物のサンプリングが年に一度のチャンスしかないことが、研究の進展をやや難しくしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の目的と計画に大きな変更は必要ないが、注目すべき形質進化については変更を考えている。たとえば、葯壁の形成様式について、単子葉植物に「単子葉型」葯壁形成様式以外の様式が有りうるのか、という問題など。 また、不足しているサンプルの採集のため、季節の変化と植物の成長の動きをこれまで以上に注意を払うつもりである。
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