2011 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯島嶼域におけるハナミョウガ属(ショウガ科)の送粉・交配システムに関する研究
Project/Area Number |
22570095
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 准教授 (50284948)
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Keywords | ハナミョウガ属 / 送粉機構 / 両掛け戦略 / ショウガ科 |
Research Abstract |
琉球大学構内に設置した調査区では、台風による被害のためゲットウが壊滅的な打撃を受け、開花がほとんど見られなかった。このため、22年度より継続していたゲットウの訪花昆虫に関する調査では、大きな進展は見られなかった。その中で、23年度も日没後に複数のスズメガ類の訪花が確認された。これらの訪花者がゲットウの花粉媒介者として機能しているかどうかを検証するために袋掛け実験を予定していたが、花数が極端に不足しており実施できなかった。しかし、行動観察の結果、スズメガ類が訪花した際に胸部の上側が葯・柱頭に触れる可能性があることを確認した。また、夜間の密分泌についても調査を行い、これまでのデータを裏付けることができた。これらの結果は、ゲットウが異なる送粉シンドロームを併せ持つ可能性をさらに指示すると思われる。 大東諸島のゲットウ(ハナソウカ)については結実しないことが知られている。これまでの調査により、ハナソウカにはcata-型のみしか存在しないことが明らかになっており、このことが不稔の主な理由ではないかと推定されていた。23年度の調査において、沖縄島産ゲットウのcata-型数個体が南大東島に移植されていることが明らかとなり、その結実率について調査したところ、高い割合で果実を形成していることが判明した。このことからana-型の個体が欠落していることが、ハナソウカが不稔であることの直接の理由であることは考えにくい。細胞学的な調査等をさらに進め、継続する必要がある。 アオノクマタケランや他のハナミョウガ属植物についても台風の影響で開花が少なかった。限られた状況の中でcata-型とana-型の比について調査を行った結果、予備調査と同様、沖縄島北部のアオノクマタケランでは性比の偏りは確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は台風の影響により調査区の植物が甚大な被害を受けた。これによりほとんど開花が見られず、予定していた訪花昆虫の観察等の作業が大幅に制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は植物の状況も良く、23年度に実施できなかった解析も含め、順調に計画を遂行できると考えている。特に変更は無く、予定通り計画を実行する予定である。
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